文藝家協会が出版協会に対して配慮をお願いしている

日本文藝家協会が2月4日付で次のような声明を出している。

「出版契約」にあたってのご配慮について(お願い)(PDF)
http://www.bungeika.or.jp/pdf/201002shuppanyoubou.pdf

読んでみたが、なかなか興味深い。
特に次の箇所。

具体的には、貴協会の「出版契約書」モデルを、新しい時代に合わせた、より著作権者の立場を配慮した契約書モデルとして考案していただきたいと存じます。
当協会には、日本の出版界では絶版の定義があいまいなために著作権者が新たな出版の機会を逸するケースや、近年増加しつつある実売部数による支払い部数のカウントが不明確であるケース、電子出版になった途端に著作物使用料が激減して著作権者が経済的困窮に陥ったケース、一契約で他の媒体での使用までも全部認めさせようという一括契約の危険性、などの相談が著作権者から相次いでおります。これは従来からの出版契約の不備によるものではないかと考えております。
もちろん貴協会が作成されました契約書モデルはモデルに過ぎず、個々の出版社と個々の著作権者の間で締結されるのが契約書であることは承知しておりますが、著作権者の立場が弱い場合も少なくなく、貴協会で作られる契約書モデルに著作権者の権利が明確に示されておれば、個別の出版社の契約書作成に当たって著作権者の権利により配慮したものが著作権者に提供されるのではないかと考えます。

これまで文藝家協会は出版社べったりであるような印象があったが、その文藝家協会が「ご配慮」という非常に下手な言い方ではあるが出版社側に対して要望を出していることは本当に興味深い。
出版社側が電子書籍に絡めて出版社の権利を主張し始めていることに対して危機感を抱いたのだろうか。
この動きに対して出版社がどのような対応をするのか、そして文藝家協会は今後どのような主張をしていくのか、注目したい。