あれから1年

3日ほど遅いですが、昨年の6月3日に衆議院著作権法改正案が可決されてから1年が経ちました。
あれから1年です。
去年の著作権法改正案反対運動については、「ユリイカ」にも書きましたが、環流防止措置については、Music Watchdogsなどのリスナーを中心とした監視体制が機能しているように思います。
また、文化審議会著作権分科会が公開され、zfylITmediaなどを通じてどのような議論がなされているのかが分かるようになりました。審議会での議論をタイムラグなしに知ることができるのは、非常に大きいです。

しかしながら、書籍・雑誌の貸与権については改正法案可決後1年が過ぎてもいっこうに許諾体制が確立されるめどは立っていません。昨年の国会での議論は一体何だったのだろうかと思います。
何度も指摘していますが、衆議院及び参議院で次の附帯決議がなされています。

参議院での附帯決議

 七、書籍・雑誌に貸与権を付与するに当たっては、その趣旨にかんがみ、公正な使用料と適正な貸与禁止期間の設定によって許諾し円滑な利用秩序の形成を図るとともに、貸与権を管理する新たな機関が、権利者の保護と書籍等の円滑な利用の促進という要請にこたえることができるよう体制を整備すること。

衆議院での附帯決議

 十一 書籍・雑誌の貸与権の行使に当たっては、公正な使用料と適正な貸与禁止期間の設定によって許諾し、円満な利用秩序の形成を図るよう配慮すること。また、権利者の利益の保護を図るとともに書籍・雑誌の円滑な利用の促進に資するため、書籍・雑誌の貸与権を管理する新たな機関の適切な運営及び環境の整備に努めること。

この附帯決議にもあるように、書籍・雑誌の貸与の許諾体制の整備は、法改正を推進した側、すなわち文化庁及び貸与権連絡協議会構成団体(21世紀のコミック作家の著作権を考える会、社団法人 日本雑誌協会、日本児童出版美術家連盟、社団法人 日本児童文学者協会、社団法人 日本児童文芸家協会、有限責任中間法人日本写真著作権協会、社団法人 日本出版取次協会、社団法人 日本書籍出版協会日本書店商業組合連合会、社団法人 日本推理作家協会日本美術著作権連合、社団法人 日本文芸家協会、杜団法人 日本ペンクラブ、社団法人 日本漫画家協会、マンガジャパン)の責務です。
その責務が果たされないまま、1年が経過しています。
一方では「文字・活字文化振興」の美名の元での、権利強化を目指す動きがも見受けられます。

あれから1年。
最近では更新頻度も落ちていますが、ここでもう一度気を引き締めていきたいと思います。