2年前に提案されていた神奈川県立川崎図書館の殿町移転

本日の県議会で「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」の殿町地区に、神奈川県立川崎図書館を統合させる構想がだされたが、実は2年前の2011年9月の県議会において、民主党・かながわクラブの市川よし子議員が、県立川崎図書館の殿町移転を提案していた。

市川よし子 活動報告: タウンニュース掲載記事 県政報告〜県立図書館を殿町に!! : http://www.ichikawa-yoshiko.jp/blog/2011/10/post_227.html

その際、黒岩知事は

今後、殿町地区の企業集積に伴い、ビジネスマッチング、交流連携など、さまざまな産業情報機能が求められるものと考えておりますので、川崎図書館のどのような機能が総合特区に生かせるのか、教育委員会や関係機関とも相談しながら検討を進めてまいります。

と答弁している。
この答弁から約1年半が経ったが、市川議員のその当時の提案が実を結んだようだ。
今あらためて、当時の質疑を県議会の会議録より抜粋する。

平成23年 第三回 定例会-09月22日−06号 : http://www.kaigiroku.net/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?A=frameNittei&USR=kankank&PWD=&XM=000000000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=-1&T0=-1&O=-1&P1=&P2=&P3=&P=1&K=119&N=977&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1&EDIT_MODE=0

市川議員

  次に、総合特区における新たな知識・情報拠点の整備と川崎図書館の機能の存続について伺います。
  現在、県民が利用する県の施設は、県立高校や、あるいは特別支援学校、住宅関連施設を除きますと県内に108施設あると言われておりますが、川崎市内には県立東高根森林公園と県立川崎図書館のたった2カ所しかありません。しかも、県直営施設は川崎図書館ただ一つであります。このような状況から、川崎市内において県にもっと積極的な事業を展開していただきたいと、この4月まで川崎市議会議員の職にあった私としても日頃強く感じたきたところであります。
  そこで、今後、我が国の経済を牽引する国際競争拠点を形成することを目指す総合特区の区域、具体的には羽田空港に隣接する殿町地区における新たな県の事業展開として、先端産業、先端医療、環境技術など特区を中心に研究される知識も集約化し、先端産業・先端医療情報センターや、産業支援など新たな機能を持つ新時代の知識と情報の拠点を整備することを検討されてはいかがでしょうか。
  川崎図書館は、川崎・京浜工業地帯に位置しているという地域性から、古くから科学・産業系に重点を置いて資料収集、提供してきた特色を持つ公立図書館であります。しかし、川崎市の富士見地区再編整備計画地に位置していることもあり、平成19年3月の県立の図書館のあり方検討委員会の報告書では、今後のあり方を検討していく方針が示され、現在、その機能の存続に向けて検討がなされておりますが、この川崎図書館の機能を総合特区の新たな拠点で存続させることも検討できるのではないでしょうか。
  海外の例ではありますが、ニューヨーク公共図書館のように、産業系ハイブリッド図書館として産業支援センターなどの機能を付加した新たな図書館も出現しており、事例として参考にできるかと考えます。
  当然、県の財政負担の問題から厳しい面もありますが、殿町地区では今後、民間などの施設整備も急速に進むと考えられ、そうした施設の中に拠点を整備することで、県がみずから施設整備するよりも負担を軽くすることも可能と考えます。
  そこで、知事に伺います。
  新たな機能を持つ新時代の知識と情報の拠点を、総合特区の拠点の一つである殿町地区に整備すべきと考えますが、川崎図書館の機能を存続することも含めて、知事のご所見をお伺いします。

黒岩知事

  次に、総合特区における新たな知識、情報拠点の整備と、川崎図書館の機能の存続についてです。
  殿町地区では、ライフサイエンス分野の中核的な研究施設である実中研再生医療・新薬開発センター、この完成や、健康危機管理の拠点施設とも言うべき(仮称)健康安全研究センターの着工が間近となるなど、着実に整備が進んでおります。また、新たな研究施設や企業、治療施設などの立地に加え、国内外の大学、研究機関との連携やベンチャー育成企業の育成など、さまざまな事業活動が見込まれております。
  お尋ねの川崎図書館は、これまで産業技術系の資料収集と提供に重点を置くとともに、科学技術情報や特許情報等のデータベース検索機能を有した科学と産業の情報ライブラリーとして運営しており、近年は、中小企業向けのビジネス支援などのサービスにも取り組んでおります。
  また、公立図書館としては唯一、特許庁から知的所有権センター支部の認定を受けているほか、地元企業の資料室や知的財産部門とのネットワークも構築していることから、特区構想で進めようとしている医工連携などにおいて、こうした資源の活用が期待されるところであります。
  今後、殿町地区の企業集積に伴い、ビジネスマッチング、交流連携など、さまざまな産業情報機能が求められるものと考えておりますので、川崎図書館のどのような機能が総合特区に生かせるのか、教育委員会や関係機関とも相談しながら検討を進めてまいります。

市川議員

 2点目の要望は、京浜臨海部における川崎図書館の機能等の存続についてであります。
  先ほど大変前向きなご答弁をいただきました。川崎市内の県の直営施設は、先ほど申し上げたとおり、この川崎図書館しかありません。川崎に残されたこの県の財産、ぜひ未来に向けスタートした特区構想の中で、図書館法の枠を超えるような新たな形で存続をさせていただくことを要望いたします。