企業内での一定範囲内での複製を適法にすべきとの意見

5月31日に開催された文化審議会著作権分科会基本問題小委員会(平成22年第3回)の配付資料が公開されていた。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 文化審議会著作権分科会基本問題小委員会(平成22年第3回)議事録
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/gijiroku.html

第10期基本問題小委員会:委員提出意見まとめ(案)(PDF形式(296KB))
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/pdf/shiryo_1.pdf

今回と前回の議事録はまだ公開されていないので、この配付資料がどのような位置づけのもので、この内容についてどれだけの議論がなされているか分からないが、平成22年第1回の配付資料や議事録に目を通した限りにおいては、基本問題小委員会の報告書のとりまとめのベースになるもののようだ。

基本問題小委員会は権利者側の委員と権利強化のスタンスの委員が多いように思うが、読んでみるとそのような意見が多く記載されていた。

しかし、目を引くような意見もあった。
それは資料の12頁の最初に記載されている、権利制限の見直しに関する次の意見。

  • 企業(等)内での業務目的の複製については、以下の要件で適法化したうえで、当該要件を超える複製については、複写権センター等による権利処理を行わなければならないこととするべき。
    • 複製を行う者が所属する同一法人かつ同一構内に、適法に複製・譲渡された複製物(市販書籍等)が存在すること。
    • 適法複製物から一部又は許容されている(小)部数を複製すること。
    • 利用目的を終了した場合、複製物を廃棄すること。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/kihon/h22_06/pdf/shiryo_1.pdf

この意見を述べているのは、松田政行委員。
正直びっくりした。
松田委員からこのような意見が出てくるとは予想もしていなかった。


自分が著作権について関わるようになった最初のきっかけが、企業内での文献のコピーの問題だったが、この範囲が適法になれば、その当時抱えていた問題の大半が解決したのではないかと思う。

私は松田委員のこの意見に全面的に賛同する。