著作物再販協議会

CCCD再販制度の対象として妥当か〜第4回著作物再販協議会
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/07/12/3856.html

この記事で紹介されていた、次の資料を読みました。

第4回著作物再販協議会について(PDF)
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/04.july/040709.pdf

このファイルはいくつかの資料に分かれています。
ざっと目を通しましたが、いくつか気になる点があったので、つっこんでいきたいと思います。

著作物再販協議会(第4回)議事概要
2頁〜3頁目(会員間の自由討議での発言)

再販制度見直しは結局,自由価格制度へのあるいは競争業界化への促進と理解している。これは今の時代に適切なのかどうか非常に疑問を持っている。競争によって価格が下がる,価格が下がればそれだけで消費者並びに関係業者が満足するかと言えばそういうものではないのではないか。出版業界を見れば大混乱に陥っているのが実態ではないか。これは消費者のためにもならずかつ業界の為にもなっていない。競争を促進することによって価格を下げて,それが消費者の利益につながるとする発想ははたして正しいのか。 (中略) 新聞は私は分からないが,書籍とか雑誌については大混乱が生じていると言っていいのではないか。公取委からの報告で触れていないが,文藝家協会では昨年ブックオフの社長も出席する,卸のトーハンの社長も出席するというようなシンポジウムをやった。とにかく,ブックオフの出現によって,先月出た本がたちまち格安の値段で出てくるというあれだが,ブックオフの出現で万引きが猛烈に横行している。一部社会問題化していると思う。安い本を買おうとするなら,ブックオフに行けばいいということになって,相当な混乱を招いている。混乱について考えると,競争市場,自由価格制への推進ということではなくて,むしろ今は規制強化の時期ではないか。 (後略)

正直なところ、あきれてものも言えない、という感想です。
規制を強化することが、消費者・読者の為になる、という根拠を何も述べていない。
ただ、規制を強化して私たち出版業界を守って欲しい、と言っているだけではないのだろうか。
ブックオフ批判も、為にする批判でしかない。
むしろ、再販制度を廃止した方が、ブックオフにとっては商売がやりにくくなるのではないだろうか。

同、10頁〜11頁

○ 要するに,おっしゃっている文脈というのは再販制度見直しの促進がありきで,それを時限立法とか部分立法というかたちで徐々に進めていこうという話でしょ。
○ そういうことを申し上げたのではない。この会を私が引き受けたとき,会員の皆さんもこの会の趣旨ということで,目的と趣旨を踏まえて会員として参加していると理解している。基本は基本として踏まえて,審議いただくということにさせていただきたい。
○ 基本は基本と言うが,私は4年くらい出席しているが,そこを棚上げしておいて,ここで部分的にこうなったとか,時間的にこうなったとか,弾力的運用をやっていると言うけれども,基本のところには何も触れないから,この4年間の議論で進捗はほとんど何もみていない,現実は変わっていないと。それはどう考えればいいのかということである。一方,背景には,出版界がいい例だが,新中古書店の出現や街頭図書館の拡大,漫画喫茶の増加などで大混乱が生じている。そういうものには一切目をつぶって,今日の報告でも出版界の混乱などについては何の報告もないというのが実情である。それをしゃべるなというのはちょっとルール違反。それこそ独占禁止法ではないけれど,言論の自由を封殺するものではないか。

ちょっと長くなってしまったが、出版界の体質をよく表していると思う。
自分達は、再販制度廃止の意見を押さえ込もうとしておきながら、自分達の言いたいことを制限しようとされると、すぐ「言論の自由」を持ち出す。
言論の自由」を言うのであれば、再販制度廃止の意見に対してもきちんと耳を傾けるべきだし、出版界においても自由に議論すべきでしょう。


同、12頁〜13頁

文芸家協会などで絶えず問題になっているのは図書館の問題である。図書館が大量に購入するために,一般読者がもっぱら図書館で順番を待って,ただで借りる人が非常に増えている。近ごろは街頭図書館というのがあって,八王子や町田で盛んで,トラックを4台くらい連ねてやってきて,そこで一月単位でどんどん貸し出している。これをやられると,どうしても一般書店での購入者が非常に減ってくるという傾向がある。書店,取次,作家に影響が出る。さっき,そのうち図書館の貸出件数の方が逆転するんじゃないかと,本の販売件数より。私はそれはかなり至近距離に迫りつつあるのではないかという気がしている。これは文芸家協会の方では絶えず議論の種になっている。そのへんの危機感はもちろんお持ちで,その危機感をまたここで社長が話すと影響も大きいでしょうし,レールからちょっと外れているということで,また問題になってもいけないから,あまりそれ以上は言わないが。とにかく,これは文芸家協会のみならず,ペンクラブとか漫画家協会でも大変に話題になっている。漫画喫茶とかいろいろあるから。そういう出版界の混乱がありながら,こういうふうにのどかに部分再販とか時限再販とかいうことを言っていていいのだろうかという気がする。私は役割上,文芸家協会の流通委員長をやっているので,やむを得ずこういうことを言っている。どうものどかだなあ,ここはと,そういう気がする。

再販協議会の場で、図書館の話を持ち出すこともよくわからないが、この委員が言っている「街頭図書館」については本当に何を言っているのかわからない。
ただ私が不勉強なだけかと思い、サーチエンジンでウェブサイトを、日経gooで新聞記事検索をしてもさらに、国会図書館雑誌記事索引も検索してみたが、出てこなかった。

本当に町田や八王子でこのようなことがされているのだろうか?
参考までに町田市立図書館八王子市図書館のサイトを見て、それらしきサービスをさがしてみたが、考えられるのは移動図書館しか無かった。
移動図書館というのは、大型車に図書館の蔵書を載せ、図書館や分館の無い地域を巡回して貸出などのサービスを行うことだが、これは何も最近出てきたものではない。
私が子どもの頃には、私の地元でも既に行われていた。
30年以上の歴史があるサービスである。

町田市では移動図書館「そよかぜ号」が巡回しているが、1ヵ月単位で貸し出しているという記述は見つからなかった。(多分、2週間ではないだろうか)
八王子市では東京都の排気ガス規制により、30年間巡回を行ってきた移動図書館「青い鳥号」が運行できなくなり、スリランカに送られたという。
なので、「近頃は街頭図書館というものがあって」という「街頭図書館」は「移動図書館」とは違うもののようだ。多分。

ではこの委員が言っている「街頭図書館」って一体何なんでしょうか。
私には、全くわかりません。
もし、ご存じの方がいたら教えて頂きたい。
特に、町田・八王子あたりの事情に詳しい方にぜひ教えて頂きたいです。

万が一「街頭図書館」が「移動図書館」のことを指しているのなら、それは為にする批判以外の何物でもないと思いますが、仮定の話を元に批判するのは控えます。

本当に「街頭図書館」について知りたいです。