文字・活字文化振興法案と学術出版支援

読売新聞の「揺らぐ知力の基盤」を読んで、改めて思ったのですが、「文字・活字文化振興法案」に「学術出版支援」が盛り込まれているのに違和感を感じています。
「学術出版支援」は「文字・活字文化」というくくりの中で語るよりも、「学術情報発信」「学術情報流通」という中で語るべきだと思います。
「文字・活字文化振興法案」における「学術出版支援」はあくまでも「書籍」という形を前提にしているように思います。
しかし、学術情報というくくりの中で考えれば、「書籍」という形で発信される学術情報は「従」に過ぎず、「学術雑誌」が「主流」ではないかと思います。少なくともSTM(科学・技術・医学)の分野ではそうです。
しかし「文字・活字文化振興法案」の具体的な施策案の中で、学術雑誌への支援は考えられているのでしょうか。
学術情報発信・学術情報流通の推進という観点で考えれば、出版社への支援よりも学協会への支援を優先すべきだと思いますし、J-STAGEのような事業への投資も重要です。NII国際学術情報流通基盤整備事業も推進すべきです。また、学会事務センターの破綻によって被害を受けた学協会が、学術情報を継続して発信できるような支援策も必要だと思います。
「文字・活字文化」といった観点では、こういった発想は出て来にくいのではないでしょうか。
私は「文字・活字文化振興法案」から「学術出版支援」を削除して、別途「学術情報発信支援」「学術情報流通支援」という観点で新たな法律を作るべきだと思います。