文化庁長官の新年のメッセージが、文化庁のサイトに掲載された。
文化庁 | 長官のサイト | 新年のメッセージ
http://www.bunka.go.jp/commissioner/message/2013/index.html
その中で、今年の目標をを5つあげているが、その5番目が著作権問題への取り組みだ。
第五は著作権問題です。クラウドのように,技術の進歩が新たな課題を提起しています。技術進歩の先行き不透明さや,利害の交錯にひるむことなく,世論をリードする意気込みで,問題の早期解決に努力します。
http://www.bunka.go.jp/commissioner/message/2013/index.html
これだけなので、具体的に何をしようとしているのか、よくわからないが、目標の一つとして掲げていることには注目する必要がある。
そして一つ気になるのが、例示かもしれないが「クラウド」に言及していることだ。
というのも、約1年前に文化庁の委託調査研究で「クラウドコンピューティングと著作権に関する調査研究報告書」が出されているが、その報告書では
「クラウドサービス」の進展を理由に、直ちに「クラウドサービス」固有の問題として著作権法の改正が必要であるとは認められないものと考える。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/cloud_computing_houkoku.pdf
(「クラウドコンピューティングと著作権に関する調査研究報告書」31頁)
と結論づけられているからだ。
クラウドコンピューティングと著作権に関する調査研究報告書(PDF形式(368KB))
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/cloud_computing_houkoku.pdf
そのためか、本年度の文化審議会著作権分科会においてはクラウドコンピューティング関連の検討は行われていない。*1
2012年9月4日に開催された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第4回)において、「間接侵害」についての関係団体ヒアリングにおいて、一般社団法人電子情報技術産業協会と一般社団法人インターネットユーザー協会がクラウドサービスに関連した意見を述べているだけである。*2
文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 法制問題小委員会 | 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第4回)議事次第
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h24_shiho_04/gijiyoshi.html
文化審議会著作権分科会において検討がなされていないにもかかわらず、文化庁長官が「クラウド」に言及し、「世論をリードする意気込みで,問題の早期解決に努力」すると述べていることは、注意する必要があると思う。
関連エントリ
クラウドサーバーは「自動複製機器」か - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20120228/p1