J-GLOLBALへの期待と注文

科学技術振興機構JST)が提供しているサービスにJ-GLOBALというのがある。

J-GLOBAL- トップ
http://jglobal.jst.go.jp/

今年の3月30日にβ版が公開されている。
利用は無料。
一言で言えば、JSTが持っている各種データベースや情報と、日本の特許を一括して検索できるサービスだ。

β版が公開されて、しばらくはほとんど見向きもしていなかったのだけど、6月頃にちょっと使ってみて、これは凄いサービスだと思った。

J-GLOBALの凄いところは、様々なデータベースを一括して検索できることではない。各データベースのデータが有機的に結びついているところだ。
例えば、J-GLOBALには科学技術用語辞書や化学物質、遺伝子情報のテータも収録されていて、キーワードで検索した場合、そういった辞書データを参照し、自動的に同義語展開をして検索を行う。だから、表記のゆれや異表記もある程度気にしないで検索できる。同様に、研究者情報や研究課題データも参照しているので、様々な関連情報が引っかかってくる。
8月からは、特許技術用語辞書も搭載が始まり、文献と特許の一括検索の精度も向上してきている。

J-GLOBAL での特許技術用語辞書のサービス開始について - 2009.8.13 -
http://jglobal.jst.go.jp/footer.php?page=announce%2f090813.php

さらに、JSTの持っているデータだけでなく、WikipediaやGeNii、PORTA、CrossRefといった外部へのリンク展開も行われている。
J-GLOBALは「科学技術総合リンクセンター」を謳っている。現在はβ版のため、文献は2003年以降、特許は2004年以降分に限られているが、現時点でもその名に恥じない機能を備えていると思う。
今年の春CiNiiやPORTAもリニューアルしたが、私にはJ-GLOBALからはそれ以上のインパクトがあった


そんな中、以前から予告されていたWEBAPIの公開に向けてのアナウンスがあった。

「科学技術総合リンクセンター(J-GLOBAL)と各機関・サービスとの連携について」(開始のお知らせ) - 2009.11.2 -
http://jglobal.jst.go.jp/footer.php?page=announce%2f091102.php

J-GLOBALと連携することで様々な有用なサービスが出てくることを望んでいるが、一つ心配な点がある。
この案内では、問い合わせ先についてこのように書いてある。

本件に関するお問い合わせは、下記窓口にて承ります。
(大変恐れ入りますが、メールでのみ承ります)

J-GLOBALサポートデスク
http://jglobal.jst.go.jp/support/

ところが、上記URLを開いてみると本当にサポートデスクで、J-GLOBAL全般の問い合わせフォームは用意されているが、WEBAPIの活用についての問い合わせフォームが用意されているわけでない。
せっかく連携を呼びかけているのに、受け入れようという姿勢が、サポートデスクのページからは感じられない。
専用のフォームぐらい作るぐらいのことはして欲しい。

また、情報管理WEBの学術情報流通ニュースSTI Updatesにも掲載されていない。
こういう案内はもっともっと積極的にアナウンスをして欲しい。


JSTの体質なのだろうか。
せっかく優れたサービスを提供しているのだから、それをもっともっと周知して欲しいし、連携を呼びかけるのなら、問い合わせしをやすい体制を整えて欲しいと思う。


なお、J-GLOBALの概要については、次の2つの文献を読んでいただきたい。

JST研究基盤情報部. “つながる,ひろがる,ひらめく「J-GLOBAL」(β版)のリリース”. 情報管理. Vol. 52, No. 1, (2009), 48-50 .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/52/1/52_48/_article/-char/ja

松邑 勝治, 黒沢 努, 関根 基樹, 矢口 学, 植松 利晃, 加藤 治. “「J-GLOBAL」試行版(β版)の構築と今後の展望”. 情報管理. Vol. 52, No. 3, (2009), 150-157 .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/52/3/52_150/_article/-char/ja


そして、科学技術情報を調べようと思ったら、J-GLOBALを是非試して欲しい。