国会図書館蔵書880万冊の電子化

今年の1月7日に、次のような記事がでた。

NIKKEI NET(日経ネット):主要ニュース−各分野の重要ニュースを掲載
国会図書館の本、全国で閲覧可能に・3000万冊をデジタル化
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080107AT3S2803907012008.html

この記事によると

3000万冊を超える国会図書館の蔵書をデジタル化して全国で閲覧可能にするための法改正に政府が着手する。まずは都道府県立図書館の専用端末と接続。将来はインターネットを通じて自宅やオフィスで簡単に読めるようにする方針だ。
(強調:引用者)

とのこと。
この記事に関連する資料があった。

コンテンツ・日本ブランド専門調査会コンテンツ企画ワーキンググループ(第4回)議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_brand/wg/kikaku/dai4/4gijisidai.html

配布資料の「デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策について(概要)」と「デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策について(案)」で国会図書館アーカイブ化について記載されている。
(案)の方から関連する箇所を引用する。(14頁)

(4)我が国が有する優れたコンテンツのデジタル化を推進する
? 国立国会図書館デジタルアーカイブ化と図書館資料の利用の円滑化
国立国会図書館には880万冊の蔵書が保存されており、これら国民の知的資産であるコンテンツをデジタル技術やネット等の情報通信環境を用いて国民の利用に資することはコンテンツ大国の実現にとって極めて重要な課題である。
国立国会図書館では平成13年から「近代デジタルライブラリー事業」を開始しており、明治期・大正期刊行図書、貴重書の一部の約14万冊についてデジタルアーカイブ化が終了している。しかし、これは全体の蔵書である880万冊のうちの1.5%に過ぎず、残された蔵書についての早急なデジタル化が必要となっている。
このため、デジタル化された後の利用と既存の出版ビジネスとの関係も考慮しつつ、一定の範囲内で、図書館が権利者の許諾なしに蔵書をデジタル化できるようにする方策を検討する。
また、国会図書館公共図書館において、他の図書館や利用者にコピーを提供する際にFAXや電子メール等を利用して行うと、公衆送信の許諾を得なければならないため、実務上困難になってしまっている。
このため、利用者の利便性向上の観点から図書館間でのデータのやり取りや利用者への資料提供の在り方について見直しを行うことを検討する。

日経の記事との相違点は、まずは蔵書の数。日経の記事では「3000万冊を超える」とあるが、(案)では「880万冊」とある。
数字が違いすぎるが、国会図書館の統計を見ると、平成18年度末で、図書が883万冊、雑誌が1184万冊、そして非図書資料もあるので、日経の数字は多分図書・雑誌・非図書資料全部の点数で、(案)は図書のみの点数と思われる。
次に、日経の記事では「都道府県立図書館の専用端末と接続」とあるが、(案)の方にはその記述が無い。
これは日経が取材で得た情報かもしれない。
いずれにしても、この(案)がどのようになるか、注目してみたい。