戦時加算が課せられたのは日本だけじゃない

阿部浩二. 講演録 著作権著作隣接権)の保護期間について.
月刊コピライト. 2007年7月号, p.2-26,

この文献を読んで一番驚いたのは、戦時加算が課せられたのは日本だけじゃない、と言うことだ。
著作権保護期間の延長派の人たちの中に、「戦時加算が課せられているのは日本だけ」という人がいる。

2006年度の音楽著作権使用料は1,110億円、CD低迷で減少〜JASRAC
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/05/16/15724.html

しかし阿部氏によると、フランス、イタリア、オーストリアブルガリアフィンランドルーマニアハンガリーでも戦時加算があるとのことです。
そして

ただ、現実に「日本だけだ」といういうようなことを外国の人たちに言いますと、「日本だけではない、われわれもあるのだ。少し勉強しろ」と言われたら、困るなというわけでございます。

と述べています。この点については全く同感です。


また、1975年に旧法から現行の著作権法に改定される際にも、審議会において戦時加算を解消すべきとの答申をしたが、現行法でも戦時加算が据え置かれたとの指摘もしています。
この点は盲点でした。
現行法になったときに保護期間は20年延長されましたが、その際に戦時加算をなくすことはできなかったのです。
それなら、仮に保護期間を70年に延長したとしても、戦時加算を解消できない可能性の方が大きいのではないでしょうか。
保護期間の延長を主張する人たちは、この点についてどう考えているのでしょうか。