図書館と著作権の本2冊

図書館と著作権についての本が2冊立て続けに出版された。

こちらは、図書館業務の場面場面で関わってくる著作権法の条項についての解説している。各条項についての解説はとても充実しており、本書を読めば、図書館業務を行う上で必要な著作権についての知識を習得できるだろう。
しかも、単なる法解説にとどまっておらず、実務を行う場面での矛盾点などもきちんと指摘しており、著作権法についての問題意識も喚起されるだろう。
なお本書は、2003年11月に出版された改訂版の改定第2版で、先の法改正や、権利者側との協定、ガイドラインなどを反映したものになっている。こちらはQ&Aを中心としたもので、図書館業務の実際の場面での疑問点に答える形で、まとめられている。
実務に基づくものなので、理解も進みやすい。
なお、本書の表紙に

図書館員は著作権思想の最高の伝達者でなければならない!

とある。
これは本書の8ページに小見出しとして使われている文である。表紙にも記載されているが、その小見出しの項目の最後に次のようにある。

デジタル時代、ネットワーク時代になって、全ての人が情報を発信する時代、全ての人が著作権者になり、出版社になる時代にあって、学校や地域で、著作物やコンテンツの接点にいるのが図書館職員であるとすれば、著作物の正しい知識を得た上で、時には権利者の味方になり、時には利用者の味方になって、文化の発展をめざす著作権法の真の伝達者に相応しいのは図書館職員の方々であろうと確信しているのは私だけであろうか。

前にも述べたことがありますが(id:copyright:20041101)、私は、著作権を語る上では、自分は権利者であると同時に利用者でもあるということを自覚する必要があると考えています。
黒澤氏がしてきするように、図書館職員は権利者の側に立つこともあれば、利用者の側にたつこともあるので、著作権について考える上ではとてもバランスのとれる立場にいるのではないかと思います。

この2冊は、図書館業務に携わる人には必読必携の2冊だと思います。
また、図書館業務に携わる人だけでなく、図書館利用者、また図書館を批判する人たちにも読んでもらいたい2冊です。