規模は関係ない

ITmedia ライフスタイル:Webキャスト放送は“放送機関”か?――文化庁著作権分科会国際小委員会を開催
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0409/03/news002.html?nc30

この記事の中で気になったのは、山地克郎・ソフトウェア情報センター専務理事の次の発言。

 「2000〜3000人のアクセスでパンクするかもしれないWebキャスト放送局と、何十万人、何百万人を相手にする放送局に同じ権利や義務を与えるのはおかしい」

はたして、Webキャスト放送局と大放送局に同じ権利と義務を与えることは、本当におかしいことなのだろうか?

その前に、現在の著作権法の下で放送局どう定義されているか見てみよう。
著作権法第二条で放送事業者は次のように定義されている。

九 放送事業者 放送を業として行なう者をいう。

これだけである。何人の視聴者を相手にしようと、業として放送を行う者は放送事業者である。
この条項は著作権法の解説書である「著作権法逐条講義 四訂新版」(加登守行著、著作権情報センター、2003年、ISBN:488526040X)の35ページで次のように解説されている。

 本号の放送事業者は、「放送を業として行う者」でございますから、アマチュア無線の様なものであっても、業として反復継続して送信を行うのであれば、他の法令によってその行為が違法になるかどうかは別として、本号の放送事業者に該当します。

つまり、現在の著作権法では、放送事業者の要件として規模は無関係で、2000人程度でパンクしようが、何百万を相手にしようが、同じ権利が与えられているのだ。
なので、山地克郎氏が大放送局とWebキャスト放送局で同じ権利が与えられるのがおかしい、と思うのであれば、規模を要件としていない現行著作権法の放送事業者の定義に対しても、異議を唱えるべきだろう。ただ単にWebキャスト放送局という新しい形の放送局を排除したい、と言うことでなければ。

私は、著作権法というのは文化の振興のためにあるのであって、特定の業界を保護するためにあるのではない、と考えます。