ディジタル著作権
- 作者: 名和小太郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/03/16
- メディア: 単行本
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前著の「学術情報と知的所有権」(ISBN:4130033204)が、学術情報にポイントを絞って居たのに対し、本書では現在の著作権制度全般を取り上げ、その問題点を網羅的に解説している。
帯の背に書かれているように、著作権の「現状を把握し 将来を考える」うえで、必読の書と言っていいだろう。
本書の中で、一番印象に残っているのが85ページから86ページに書かれている「ベルヌ体制の前提」である。その部分を全部引用すると少々長くなってしまうので、それを端的に表した部分を引用する。(88ページから89ページ)
BC(引用者注:ベルヌ条約)は著作者すなわち芸術家,したがって著作者は稀少という前提で構築されたものであった.
現代は、岡本薫氏が言うように「1億総ユーザー、総クリエーター」の時代であるので、名和氏のいうBCの前提は崩壊している。
この点を押さえると、著作権の問題点はいろいろと見えてくるように思う。
なお、岡本氏は「1億総ユーザー、総クリエーター」という時代認識を持ってはいるが、著作権課長時代に行った著作権行政は、基本的には著作権の権利強化であった。それは「1億総ユーザー、総クリエーター」の時代にあった著作権行政だったとは私には思えない。