marinesさんの誤解

私の書き方がわるかったせいか、1月30日の記述についてどうもmarinesさんに誤解されてしまったようです。

この判決がプロパテントの流れに沿うもので『知財立国』にプラスになる

と、私と謎工さんの発言をまとめていらっしゃいます。確かに前半の部分は、私がそう書きましたが、「知財立国」にプラスになる、とは決して書いていませんし、私は「知財立国」という言葉を使っていません。
私は「知財立国」などというスローガンには、あまり良い印象を持っていません。
「○○立国」というスローガンは、○○によって国の税収を増やす、つまり企業を設けさせる、というものだと私は捉えています。ですから、例えば「科学技術立国」というスローガンと「科学技術振興」が必ずしも一致しないように、「知財立国」と「プロパテント」は必ずしも一致しないのではないか、と私は考えています。ですから、プロパテントの流れに沿った判決であっても「知財立国」にプラスになるとは限らないのではないでしょうか。
謎工さんも、私と同様の認識を持っているからこそ、

つまり『誰の為の知財強化か』と言うことです。

と書かれたのではないかと、私は理解しています。

私が言いたかったのは、現行制度の中で、特許の価値を非常に高く評価した判決が出たのだから、「特許」の価値を高めるべきだ、という立場である「プロパテント」を唱える人は、この判決を評価すべきではないか、ということです。
ただそれだけです。

逆に、現行制度の問題点だとか、そのような問題は全く考えに入れていませんし、そもそも私には語れるだけの知識を持ち合わせていません。marinesさんは現行の制度に問題があると考えているようなので、私の文章を読む際にフィルターがかかってしまったのでは、と思います。私が述べていないことにまでmarinesさんは反論されています。

職務発明の対価と通常の特許のライセンス料や譲渡対価と、少々混同されているようです。特許法35条の趣旨は会社と発明者の貢献度に応じた利益配分の話で、これはまったく異質のものですので。

この指摘については、私は確かにそうかもしれません。(ただ、自分の知財を強化すれば、他社の知財も同時に強化される、という構造については、間違っていないと思います。この判決の感想として書くのがふさわしかったかどうかはともかくとして)
ですが、その後に続く

特に技術者の方は「発明者の保護を強化するのだから、発明が増えるじゃないか」と言われるかもしれません。しかしそれは「知財立国」と「技術立国」を混同しているように思えます。この判決で「技術立国」だということ自体、かなり短絡的ですが。

については、私も謎工さんも全く触れていないことです。頭の中で仮想敵を設定するのはかまいませんが、私や謎工さんの名前を出している部分でこのようにのべられても困ります。
その後のmarinesさんの意見自体は、なるほど、とおもう点が多いですが、自分の名前が出された以上、私の述べていない点については、指摘させていただきたいと思います。