著作権人権論への違和感

2/2に著作権人権論について、少々書きましたが、(id:copyright:20040202#p2)去年の6月頃、自分が主催しているMLで、著作権人権論への違和感について少し書いたことがありますので、そのときの私の発言をこちらに載せます。

私は「情報モラル」っていう言い方はあまり好きではありません。
著作権の問題は「モラル」じゃないと思います。

著作権の問題が「モラル」じゃない、というのはこういうことです。

ACCSの主張はあくまでも財産権の主張です。
財産権を主張する際に「モラル」という、言い方はソフトではあるけども、相手に心理的プレッシャーをかけるような言葉を用いるのは「ずるい」、財産権の主張なら正々堂々と財産権として主張すべきだ、ということが言いたかったのです。

文化庁の岡本薫氏が「著作権」は「人権」だ、ということを言いますが、私は、この言い方も同様に「ずるい」と思います。
http://members.tripod.co.jp/copy_and_copyright/books/title/okamoto01.html

岡本氏のレトリックは、「著作権は財産権である」「財産権は人権(のひとつ)である」だから「著作権は人権だ」という3段論法です。

私が「著作権=人権」に反対するのには大きく2つの理由があります。

ひとつは現在問題になっている著作権問題のほとんどが「財産権」としての著作権についてだということです。

私の感覚では、「人権」と言った場合、差別の問題だとか、もっと人間の尊厳に関わる問題を思い起こします。それにくらべると、「著作権」を「人権」と言ってしまうのはあまりにも大げさすぎるように思うのです。

下世話な言い方をすれば「著作権って言ったって結局お金の問題じゃん」ということです。

これが、もし「著作者人格権」について大きな問題が起きているのなら、まあ「人権」という言葉を使っても多少は理解できるのですが。

もうひとつは、著作権問題で大きな発言権を持っているのは「人」ではなく「法人」であることです。(JASRAC、JRRC、出版社、レコード会社、映画会社等等)「法人」は確かに法的に「人」とみなされますが、でも「法人」が「人権」を主張するっていうのに、大きな違和感を感じます。