無断引用

パテントサロンより

平凡社の本に無断引用 出版社と著者に謝罪
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040123-00000111-kyodo-ent

いいかげん「無断引用」という表現はやめてもらいたい。
著作権法32条の要件を満たせば、引用は著作権者に許諾を取ることなく、無断で自由に行うことができるのだ。

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
(平十一法二二○・2項一部改正)

この条文があるおかげで、評論とか批評等が自由に行えるのであり、「言論の自由」が成り立つのである。しかし、実際には12月13日に書いた(id:copyright:20031213#p3)ように、引用の許可を求めたために、自分が主張したいことを主張できなくなってしまうケースがある。
自分が主張したいことをちゃんと主張できるようにするためにも、引用には許可が必要だという誤解を与えかねない「無断引用」という言い方には、断固反対していきたい。


追記
これを書いた後で、謎工さんのところを読んだ。

 活字文化議連と言う一大勢力が国会内で大手を振っている間は政治レベルで何やっても無駄。「再販制度廃止」だの「見直し」と言っただけで与野党問わず 100人以上の議員から袋叩きに遭わされるうえ「文化破壊者」「言論・表現の自由の敵」のレッテルを貼り付けられるのである(東大の三輪芳郎教授がそうされたことは以前に書いた通り。

謎工さんの懸念には、私も同意です。
「言論・表現の自由」を守るために本当に必要なのは、「再販制度」などではなく、むしろ「引用」のように、著作権をある程度制限することではないか、と私は思います。