「図書館の基本を求めて」
先日書店で見つけて、一気に読みました。
図書館の基本を求めて―「風」「三角点」2001~2003より
- 作者: 田井郁久雄
- 出版社/メーカー: 大学教育出版
- 発売日: 2008/01/15
- メディア: 単行本
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サブタイトルにあるように2001年〜2003年に書かれたものだが、この時期作家らによる図書館批判が盛んだった時期で、それに対する反論が多く掲載されている。
自分もこのブログで作家らへの反論を書いてきたので、共感を覚えるところが多かった。
「本と人をつなぐ図書館員」
同じく、書店で見つけて一気に読んだ本。
- 作者: 山内薫
- 出版社/メーカー: 読書工房
- 発売日: 2008/01/15
- メディア: ハードカバー
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自分は図書館での障害者サービスに特段関心があるわけではないが、学生時代に授業で障害者サービスを担当されれている図書館員の方の話を伺う機会っがあって、その時のことが印象に残っている。
そして、著作権に関心を持つようになってからは、権利制限関連で図書館の障害者サービスについて、若干関心を持つようになったけど、自分自身は障害者サービスの実際を体験している訳ではない。
なので、本書を読んで、障害者サービスと言っても、そう一言で簡単にすませられないくらい、幅広いサービスなんだと再認識した。
弱視の方が利用するのは、点字資料だけでなく、大活字本、拡大写本、録音図書(テープ)、「さわる絵本」などもある。
また、録音図書(テープ)は、弱視の方だけでなく肢体不自由者や寝たきりの方、読み書き障害の方など、活用範囲は広い。
この本を読んで、本当に様々な形態の資料が必要であること、そして多種多様なサービスが必要とされていることを改めて学んだ。
本書を読んだ後で、改めて著作権法の権利制限規定を読みなおしてみると、それがどれだけ不十分なものかを再確認することができる。
文化庁著作権課の職員、文化審議会著作権分科会の委員の方、そして、著作権者代表の方や著作権管理団体の方に、是非とも本書を読んでいただきたい。
Culture Firstについてのアンケート
ここではアナウンスしませんでしたが、Culture Firstについてのアンケートを行っていました。
その結果が出ましたので、簡単に紹介します。
報道によると、87の権利者団体が「Culture First?はじめに文化ありき」を統一標語にして、私的録音録画補償金の拡大を訴えたとのことです。
次の記事を読んでお答え下さい。
「iPod課金」は「文化を守るため」――権利者団体が「Culture First」発表 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/15/news117.html
権利者団体が「Culture First」宣言、文化保護で補償金の拡大求める
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/15/18120.html
著作権団体、統一標語「Culture First」で補償金制度維持の結束図る:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080115/291110/
私的録音・録画によって著作権者は大きな経済的不利益を被っていると思いますか? | |
---|---|
著作権者は経済的不利益を被っている | 290 |
著作権者は経済的不利益を被っていな | 375 |
わからない・どちらとも言えない | 357 |
あなたは、権利者団体のアピールに賛同しますか? | |
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賛同する | 89 |
賛同しない・反対する | 541 |
どちらとも言えない・分からない | 392 |
私的録音・録画によって著作権者は大きな経済的不利益を被っていると思いますか?
意見がきれいに分かれました。
これまでもこのようなアンケートを何度も行ってきましたが、ここまで意見が均衡したのは初めてだと思います。
はてなユーザーでアンケートに答えてくれる人は、どちらかというと著作権者の主張に反発を感じている人が多いという印象でしたので、ここまで意見が分かれると言うことは、私的複製によって著作権者に不利益があると考えている人は、結構多いのだと思います。
あなたは、権利者団体のアピールに賛同しますか?
こちらは「賛同する・反対する」が半数を超えています。
興味深いのは、設問1で「不利益を被っている」と答えた人でも、賛同するのはわずか20%に過ぎないと言うことです。
http://q.hatena.ne.jp/1200404913/report?x=q01&y=q02
感想
このアンケートから見えてきたことは、まず、権利者を自称する方々の主張がユーザーには伝わっていないと言うこと。
特に、「私的複製によって不利益を被っている」と思っている人も多いけど、そうではない、分からない、という人も同じように多いと言うことです。
自分たちが不利益を被っているというのなら、その状況が分かるように、ちゃんと説明する必要があるのではないでしょうか。
それから、権利者を自称する方々は、主張の仕方が下手だということ。
何と言っても、「私的複製によって不利益を被っている」と思っている人でも、Culture Firstの主張には賛同できないという人が過半数いるわけですから。賛同してくれる人はわずか2割です。
自分たちの状況を理解してくれいる人ですら、2割しか賛同していないのですから、アピールの仕方が良くないか、アピールの内容そのものが良くないかのどちらかだと思います。
ユーザーに自分たちの思いを理解してもらいたいと思うのなら、やり方を考え直さなければならないのではないでしょうか。
ただ、今回のアピールはユーザーに向けてのものでは無いのかもしれません。
しかし、私はあくまでもUser First、ユーザーに支持されなければ、その文化は衰退すると思っています。CCCDがユーザーから受け入れられずに縮小していったように、コピーワンスがユーザーから受け入れられなくて見直しがなされているように、ユーザーに受けいられないものは、衰退していくだけだと私は思います。