デジタル時代の出版メディア・考

ポット出版のサイトで不定期連載されている、湯浅俊彦氏のデジタル時代の出版メディア・考が約1年ぶりに更新されました。
この連載は、私の関心のある分野を多く取り上げているので、とても楽しみに読んでいました。

第37回●電子タグ問題の提起―日本ペンクラブ理事会への湯浅リポート
http://www.pot.co.jp/digitaljidai/37.html

電子タグの出版物への応用については、私は危惧を抱いていますが、湯浅氏のレポートもその点をちゃんと指摘しています。

5.問題の所在

 では、ここで議論のために問題の所在を整理しておきたいと思います。
 出版物に電子タグを装着することの問題点は、大きく分けて以下の4点にあると思われます。

<中略>

4.知的財産権拡張の問題

 書店で買ったあとは持ち主の自由だった出版物が、その貸与や転売について制限される可能性があること。

多分これは、新古書店やレンタルコミックを念頭においての指摘だと思います。
私はさらに、本をコピーすることも(私的私用でさえ)自由に行えなくなるのではないかと危惧しています。
技術的な面は詳しくないですが、コピー機電子タグ読み取り機能をつけることで、コピーを完全にコントロールすることができるようになるのではないでしょうか。
例えば、複写使用料を払わないかぎりコピーを取らせないようなコピープロテクトをかけるとか、どの本からどれだけコピーを取ったかを記録し、複写使用料を自動的に徴収するとか。
電子タグについては、便利な面だけが強調されることが多いですが、きちんと問題点を指摘してあるこのレポートには、好感を覚えました。