輸入音楽CDは買えなくなるのか?

ITmedia ライフスタイルの連載「輸入音楽CDは買えなくなるのか?」が完結した。

連載:輸入音楽CDは買えなくなるのか?
あらゆる輸入音楽CDに規制を?――危険な著作権法改正が進行中
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/12/news054.html

連載第2回:輸入音楽CDは買えなくなるのか?
「副作用」は覚悟していた――文化庁に聞く著作権法改正の舞台裏
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/13/news022.html

連載第3回:輸入音楽CDは買えなくなるのか?
「求めたのは還流阻止。CDでは他に方法がなかった」――レコ協に聞く
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/17/news054.html

連載最終回:輸入音楽CDは買えなくなるのか?
日本のCD価格は安くなる?――法改正がもたらすエンドユーザー利益の真偽
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/19/news045.html

反対のシンポジウムを開催した人達の言い分、文化庁の言い分、レコード協会の言い分、消費者団体の言い分、全部読んでからどの言い分に納得できるか、考えてもらいたい。

質問趣意書

民主党の川内博士議員らが提出した質問趣意書が、民主党ホームエンターテイメント議員連盟のサイトに掲載された。

今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける
暫定措置廃止後の法律の運用に関する質問主意書
http://www.satokenichiro.com/syuisyo006.htm

今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける
暫定措置廃止に係る検討経緯等に関する質問主意書
http://www.satokenichiro.com/syuisyo007.htm

これまで私が主張し続けていた、「非営利・有料」「営利・無料」の貸与についての質問がなされています。

21世紀のコミック作家の著作権を考える会と漫画原稿を守る会

漫画原稿を守る会の顛末を菅谷充氏がご自身のBlogで書かれているが、その第9回に「貸与権」についての言及があった。

MSugaya's Weblog
(9)雑誌のマンガ原稿は誰のもの?
http://www.m-sugaya.com/blog/archives/000028.html

それを見ていくと、漫画原稿を守る会と21世紀のコミック作家の著作権を考える会の違いがよくわかる。
21世紀のコミック作家の著作権を考える会について、菅谷氏は次のように書いている。

この会は、当初、新刊の販売低下の原因とされている新古書店チェーンやマンガ喫茶に対する規制を求めて設立されたもので、多数のマンガ家が参加しているが、実際の事務方は、大手出版社から委嘱された弁護士事務所がつとめている。マンガ家の団体は、出版社から見ると、職能組合(ユニオン)に見えることもあり、それがマンガ家の団体に対する警戒心や冷遇につながるところがあるのだが、「21世紀の……」については、コミックの売り上げ低下という利害関係が一致しているためか、出版社とマンガ家が呉越同舟で、問題に対処する姿勢を見せていた。

つまり、表には漫画家が出ているが、裏では出版社が取り仕切っていて、新古書店や漫画喫茶、レンタルコミックなどの、気軽に漫画に触れる機会を読者から奪うために漫画家と出版社が手を結んだのが21世紀のコミック作家の著作権を考える会ではないだろうか。
一方で、漫画原稿を守る会は、菅谷氏曰く「会としての実態のない組織」で、実際にはわずか数名の女性漫画家が動き回っていたにすぎなかった。
で、漫画原稿の所有権が漫画家にある、という判例を確立できていない現時点で、結局漫画原稿を守る会は閉会することになった。

漫画家の権利というのは、出版社に対して主張するものではなく、読者に対して主張するものらしい。

《陸這記》 crawlin’on the groundを読んで

14日のエントリで、仲俣氏(id:solar)に対して

貸与権については、仲俣氏にしてもこの程度の認識というのが、少々残念である。

と書きましたが、取り消します。
仲俣氏の《陸這記》 crawlin’on the groundの18日付けの一連のエントリは(id:solar:20040518)、貸与権だけでなく、輸入権Winny開発者逮捕などの一連動きについて、深い考察がなされていて、とても参考になります。
特に次の部分。

下北沢に住んでいると、「輸入CD屋」とか「新古書店」といったオルタナティヴな回路があることが、いかにありがたいかを身にしみて感じる。いま著作権法改正に乗じて目論まれているのは、すべての「オルタナティヴな回路」を塞ぎ、オーソライズされたただ一本の道(しかも有料)しかないという状況づくりなんだと思う(もちろん、今回の著作権法改定では「新古書店」は影響をうけない。でも、そのうち必ず狙い撃ちにされて、規制が強化される。ICタグはたぶん万引き対策などではなく、将来的な「譲渡権」の拡大のための布石だろうというのが僕の予想)。でも、それははたして「文化」を育成する方向にむかう道なんだろうか。

自分が貸与権や公貸権に反対しているのは「オルタナティヴな回路」を守る為だったのか、と自分のスタンスを再確認できました。