21世紀のコミック作家の著作権を考える会と漫画原稿を守る会

漫画原稿を守る会の顛末を菅谷充氏がご自身のBlogで書かれているが、その第9回に「貸与権」についての言及があった。

MSugaya's Weblog
(9)雑誌のマンガ原稿は誰のもの?
http://www.m-sugaya.com/blog/archives/000028.html

それを見ていくと、漫画原稿を守る会と21世紀のコミック作家の著作権を考える会の違いがよくわかる。
21世紀のコミック作家の著作権を考える会について、菅谷氏は次のように書いている。

この会は、当初、新刊の販売低下の原因とされている新古書店チェーンやマンガ喫茶に対する規制を求めて設立されたもので、多数のマンガ家が参加しているが、実際の事務方は、大手出版社から委嘱された弁護士事務所がつとめている。マンガ家の団体は、出版社から見ると、職能組合(ユニオン)に見えることもあり、それがマンガ家の団体に対する警戒心や冷遇につながるところがあるのだが、「21世紀の……」については、コミックの売り上げ低下という利害関係が一致しているためか、出版社とマンガ家が呉越同舟で、問題に対処する姿勢を見せていた。

つまり、表には漫画家が出ているが、裏では出版社が取り仕切っていて、新古書店や漫画喫茶、レンタルコミックなどの、気軽に漫画に触れる機会を読者から奪うために漫画家と出版社が手を結んだのが21世紀のコミック作家の著作権を考える会ではないだろうか。
一方で、漫画原稿を守る会は、菅谷氏曰く「会としての実態のない組織」で、実際にはわずか数名の女性漫画家が動き回っていたにすぎなかった。
で、漫画原稿の所有権が漫画家にある、という判例を確立できていない現時点で、結局漫画原稿を守る会は閉会することになった。

漫画家の権利というのは、出版社に対して主張するものではなく、読者に対して主張するものらしい。