「プロパテント」から「プロイノベーション」

特許庁特許法の抜本的見直しを行うとの記事が出ている。

特許法:抜本改正へ 技術「保護」から「促進」に − 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090127k0000m020087000c.html

asahi.com朝日新聞社):特許「もっと活用を」 半世紀ぶり抜本的な法改正へ - ビジネス
http://www.asahi.com/business/update/0126/TKY200901260243.html

金融・政策/国際競争力強化に重点 特許法、11年改正へ研究会 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200901270084a.nwc

1月26日に開催された特許庁長官の私的懇談会「特許制度研究会」についての記事だ。
特許制度研究会の配付資料が、すでに特許庁のサイトに掲載されている。

第1回特許制度研究会議事次第・配布資料一覧
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/tokkyoseidokenkyu01_haifu.htm

まだ全てにちゃんと目を通してはいないが、「特許制度研究会について 」という資料の中に興味深いことが書かれている。
「2.研究会設立の趣旨」のところだが、

プロパテントからプロイノベーションに向けて特許制度の基本設計を見直す時期がきており、国際的な特許制度の議論をリードする意味でも、現行特許法の制定・公布50年の節目を迎える本年、今後の特許制度の在り方について、原点に立ち返って包括的な検討を行うための特許庁長官の私的研究会(「特許制度研究会」)を設置することとする。
(強調:引用者)

http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/pdf/tokkyoseidokenkyu01_haifu/kenkyukai04.pdf

毎日新聞の見出しにもあるように、特許庁は「プロパテント(=保護)」から「プロイノベーション(=促進)」へと転換を行おう戸しているようだ。
特許庁の方向転換は知財戦略に影響を与えるだろう。
その結果著作権行政にも影響が及ぶかも知れない。


しかし、ここ2〜3年の文化審議会での議論を振り返ってみると、むしろ、著作権に関する議論の方が先を行っていたのかもしれない。
過去の著作物の保護と利用に関する小委員会における著作権保護期間延長についての検討では、それはむしろ創作を阻害する、という反対意見がだされ、それを受けて創作促進・流通促進方策の検討がなされてきた。
文化庁の意図した方向ではなかったと思うが、結果として「保護」から「促進」の議論がなされている。
また、フェアユースについての検討もこれから行うことになっている。
特許庁が「保護」から「促進」への転換をこれから図るというのであれば、文化庁にとってはチャンスなのではないだろうか。
特許庁よりも先に「保護」から「促進」への転換を、「プロコピーライト」から「プロクリエーション」への動きを打ち出すことを期待したい。