図書館総合展サンメディア主催フォーラム

前のエントリでも書きましたが、第10回図書館総合展の2日目に開催された、サンメディア主催フォーラムのコーディネーターをやりました。

■サンメディア 主催フォーラム
日時:11月27日(木)10:30〜12:00
会場:第2会場(会議センター3階 302)
テーマ:図書館と著作権「権利制限を巡る著作権法の動向」
講師:山下 和茂氏(文化庁長官官房著作権課長)
コーディネーター:末廣 恒夫氏(複写と著作権メーリングリスト主宰者)

http://www.sunmedia.co.jp/modules/bulletin0/article.php?storyid=96

参加者は200名以上で、会場はほぼ満席でした。
山下課長の講演と質疑が中心のフォーラムで、コーディネーターは基本的には質疑の進行役という役割でした。
でも、質疑の進行だけではつまらないので、自分の意見なども所々で述べさせてもらいました。

山下課長の講演

サンメディアのフォーラムでは、昨年も山下課長の講演を行っていたので、その後1年間での著作権法改正に関わる話題を話されました。

  • 知的財産本部「デジタル・ネット時代における知的財産制度専門調査会」での検討課題。
  • 私的録音録画補償金と私的複製の範囲の見直し
  • 過去の著作物の保護と利用に関する小委員会「中間整理」
    • 権利者不明の場合の利用円滑化方策
    • アーカイブ事業の円滑化方策
    • 保護期間の延長
  • 第8期法制問題小委員会「平成20年度中間まとめ」
  • 第7期法制問題小委員会の審議経過

これらの内容について45分程度で話していただいたので、駆け足での紹介でしたが、ここ1年の議論の復習としては分かりやすいものでした。
ただ、図書館に関する話題を中心にとお願いしていたのですが、やはり、フェアユース私的録音録画補償金ダビング10など、文化庁にとって大きな話題に時間が割かれてしまいました。
それから、図書館総合展の初日に行われた「学術情報オープンサミット2008 対談 デジタル・ネット時代における著作権のありかた」で、中山信弘先生と三山祐三弁護士の対談が行われ、その中で、フェアユースについて積極的な話がされたらしいのですが、山下課長の話の中でそれを意識した発言がありました。私の受けた感触では、山下課長はフェアユースの導入には積極的ではないように感じました。
一方で、障害者関連の権利制限に関しては、個人的な意見として、包括的な権利制限を行っても良いのではないか、と話されていました。
また、来年の通常国会著作権法改正案を出すとのことでした。11項目の改正を盛り込む予定で、現行著作権法では最大規模の改正になるとのこと。来年の1月に文化審議会著作権分科会の最終報告書が公表される予定なので、それに注目したい。

質疑

質疑の時間も30分と限られていたので、私的録音録画補償金関連など、図書館に直接関係のない事項や、個別具体的な事例、こういう場合にどうすれば良いのですか、といった質問は行わないように最初にお願いした。
出てきた質問はアーカイブ関連、権利者不明の場合について、障害者関連、そして医薬品分野の複写に関わる質問などがありました。

感想

最初は、もっともっと自分の意見を出したいと思っていたのですが、コーディネーターという立場を考えるとあまり出し過ぎない方が良いのではないかと思い、若干遠慮しました。
時間も限られているし、質問をしたい人もたくさんいたと思うので。
その代わり、配付資料を作って、そちらの方に自分の伝えたいことを盛り込みました。ただ、その内容についての補足説明ができなかったので、参加者の方にどれだけ伝えられたか分かりませんが、著作権法の動向をウォッチングしていくこと、意見を出すことの重要さが一人でも多くの人に伝わっていれがうれしいです。

あと、やっぱり「図書館原理主義者」って言葉にはまいったな。あれにすべてを持って行かれた感じ。(苦笑)