文化審議会著作権分科会傍聴メモ

昨日開催されました、文化審議会著作権分科会(第25回)を傍聴してきました。
傍聴メモを作成しましたので、ここに掲載します。
なおこのメモは、私のメモと記憶に基づいてまとめたものですので、正確性は保証いたしません。その点はご留意下さい。

文化審議会著作権分科会(第25回)傍聴メモ

日時:2008年2月27日(水)13:00〜14:30頃
場所:フロラシオン青山2階「芙蓉」

【議事】
1.開会
2.委員及び文化庁関係者紹介
3.議事
(1)文化審議会著作権分科会長の選出について
(2)小委員会の設置等について
(3)コンテンツ関係分野での最近の動向について
(4)その他
4.閉会

傍聴メモ

  • 分科会長の選出までは非公開
  • 分科会長には野村委員、副分科会長には中山委員が選出された模様(座席の名札にて確認)
  • 委員の名簿は別紙参照。基本的に第6期と同じメンバーで各団体内での変更に伴い4名が変わったのみ。
  • 小委員会は第6期と同じく、法制問題小委員会、私的録音録画小委員会、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会、国際小委員会の4委員会を設置。
  • 第6期の小委員会の活動報告、質疑はなかった。
  • 第7期の小委員会設置については、異議なく承認された。
  • その後、「コンテンツ関係分野での最近の動向」について、4委員から報告があった。
  • まず、「動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件について」
  • 詳細についてはJASRAC常務理事の菅原氏が説明
  • 配布資料は7月24日付けで発表したもの(http://www.jasrac.or.jp/release/07/07_4.html
  • 個人が動画投稿サイトにアップした際に、私的複製物の目的外利用があった場合は、サイトの事業者が著作権処理を行う。
  • 次に大林委員(社団法人日本芸能実演家団体協議会専務理事)が口頭で説明。
  • 正直、何を説明しているのか理解できなかったが、われわれ実演家がコンテンツ流通を阻害しているわけではない、ということを強調していた。
  • 次に「エルマーク」について、石坂委員(日本レコード協会会長)が説明
  • 説明は報道されている内容とほぼ同じ。
  • エルマークの前提に30条の範囲の見直しがあることを明言していた。
  • 最後に瀬尾委員(日本写真著作権協会常務理事)が国際技術標準許諾コード方式について説明。
  • 経団連のコンテンツポータルサイトで許諾コード方式を導入しているが、それがIEC(国際電子技術標準化会議)で国際標準となった。(2月19日付けで日経が報道。http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080219AT1D150E118022008.html
  • コードの詳細については、開発した電通が発表。
  • コンテンツID、事業者ID、許諾コードでコンテンツの流通を促進。事業者IDは個人でも取得化。
  • 質疑はエルマークについてのものばかり。
  • 最初は金原委員(日本書籍出版協会副理事長)。このような仕組みは良いと思う。実効性があるのか。
  • 石坂委員、30条の見直しも含めて、有効になっていくと期待する。
  • 次に岡田委員(JASRAC理事)。違法コンテンツに対しては、われわれも警察と協力して摘発しているが、ダウンロード件数に比べると、逮捕者は少ない。違法なことをすると逮捕されるということをもっとアピールするとともに、性悪説のスタンスで厳罰にしていくべきだ。
  • 石坂委員、エルマークだけでなく、さまざまなキャンペーンも含めて、対策していくことが必要だと思う。
  • 道垣内委員、110社が協力しているというが、30条の見直しにおける「情を知って」を言うには、80%ぐらい普及しないと「情を知って」には使えないと思う。また海外の音楽配信業者はどうするのか。
  • 石坂委員、レコード協会が許諾している音楽配信は基本的に有料サービス。無料のものは違法といって良い。エルマークはその判断を補強するためのもの。
  • 以上で質疑が終わり、予定より30分近く早く終了。

感想

実質的な審議や、今後の方向性についての説明や議論が全くなかったので、正直なところ、会社を休んで傍聴するだけの意味は無かった。
ただし、エルマークはあくまでも30条の範囲の見直し、違法コンテンツのダウンロード違法化を実現するために設けられたものであることを確認できた。
商標の持つ機能がどうだとか、不十分でもやったほうがいいとかいう議論にはあまり意味が無く、あくまでもエルマークがあることで違法コンテンツのダウンロードを違法化できるのかできないのか、という点を議論して、エルマークでは違法コンテンツのダウンロードを違法化することは不十分である、と言うことを主張していかなければならないということを確認できた。これは収穫だったと思う。

追記 関連報道、エントリ

ITmediaの記事。

私的録音録画小委員会」来期も設置 補償金問題の議論継続 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/27/news113.html

私と同じく傍聴された方のエントリ。

ICHINOHE Blog: 第25回文化審議会著作権分科会
http://shinyai.cocolog-nifty.com/shinyai/2008/02/25_5a0e.html