1日遅れのThanksgiving Day

MiAUの「大感謝祭」キャンペーンは一応昨日まででしたし、自分も24日付のエントリーでキャンペーンに参加しました。
が、今日読み終わった本がとてもすばらしかったので、感謝を述べる代わりに、ここで紹介させていただきたいと思います。

〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争

〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争

本書では、18世紀の英国で行われた、書店と「海賊版」出版者*1の間でコピーライトは永久か、有期限かが争われた裁判についてまとめている。
この裁判が、コピーライトは永久ではない、期限がある、と結論づけたことが現在に至るまで、非常に大きな意味を持っている。
しかし、直接裁判について記述しているのは1/3以下で第3章がその部分。他の部分は当時のイングランドスコットランドの司法・出版・文化的背景についての記述、この裁判に至るまでの経緯などが書かれている。
やはり読み応えがあるのが、その裁判での双方の主張を記述した部分だが、200年以上前から本質的なところは変わっていないと言うことが、よく分かって、興味深い。昨今の著作権保護期間延長問題の原型がそこにある。
保護期間延長問題について考える上で、本書は必読である。

また、私が本書で一番共感を得たのは、「はじめに」と「おわりに」のところ。
本文では抑えられていた、著者の主張がストレートに書かれていて、その主張に大きくうなずいた。

それから、本書を読んで、白田秀彰氏の「コピーライトの史的展開」を改めて読んでみたくなった。

買ってはいるのだけど、途中まで読んで止まってしまっている。
本書と合わせて読むことで、18世紀の英国で、著作権はどのようにして確立していったのかが理解できると思う。

*1:正確には、コピーライトの消滅した本を出版している出版者なので、「海賊版」出版者ではない