無料だからできること

著作権が及ばない範囲を定めている著作権法の条文の中に第38条があります。

(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

(中略)

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。
5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

ここに書かれている行為は、「営利を目的とせず、かつ料金を受けない場合」には著作権者の権利は及ばない、つまり著作権者の許諾を得る必要はなく自由に行えるのです。
著作権法上において、「営利を目的とせず、かつ料金を受けない」からこそ、自由にできることがあるのです。

公共図書館を有料にできないか、という発言を見かけることがありますが、公共図書館が有料になった場合、貸出サービスも、読み聞かせサービス、障害者に対する対面朗読サービスなどは、著作権者の許諾を得ないと行えないことになるのです。そしてこれらは、許諾を得る体制は、現時点で整っているとは言えません。
公共図書館においては、無料だからこそできることがあるということを、忘れないで欲しいと思います。