コラム it@RETI

P2Ptodayダブルスラッシュ経由

著作権法改正についての論点整理(その1)
http://www.rieti.go.jp/it/column/column040225.html

貸与権の問題について、問題点を指摘している。
しかし、次の点は気になります。

ちなみに、今回の改正案で対象となるのは貸本屋やレンタルコミック屋等の営利目的でのレンタル業です。図書館の貸出についても著作権料を徴収できるようにするべきだという意見がありますけど、これはまた別の公貸権という権利に関する論点になります。まあ、今回の改正事項にはないとはいえ議論は行われていて、次回次々回にはあがってくるかもしれませんが……。

確かに図書館の貸出については、今回の法改正では影響はありません。
それは、著作権法第38条4項に次のようにあるからです。

公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

この規定があるために、非営利・無料の貸与は、仮に今回の改正案が通っても、権利者の許諾を得ることなく、貸出ができるのです。
逆にいうと、非営利・無料以外の貸与は、権利者の許諾が必要になります。
したがって、レンタル業のような営利・有料の貸与だけでなく、非営利・有料、営利・無料の貸与も、自由に行えなくなるのではないか、と私は心配しています。
なお、「公貸権」については、真紀奈さんも述べているように「貸与権」とはまったく別の話です。