貸与権は報酬請求権ではない

東京新聞の夕刊1面の記事で著作権法改正案の骨子を紹介していた。

音楽CD逆輸入禁止 著作権法改正へ 5年程度の期間設定
東京新聞(夕刊). 2004年2月16日(月)1面
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040216/eve_____sya_____001.shtml

骨子は(1)音楽CDの逆輸入による国内販売への影響を防ぐため、一定期間の還流防止措置(2)書籍・雑誌が無断でレンタルされないよう映画ビデオなどと同様、レンタル業者に著作権料を請求できる貸与権著作権者に与える(3)著作権侵害に対する罰則規定を強化−が柱。

ここには、明らかな間違いがある。
貸与権」は著作権料の「請求権」ではありません。
他者による貸与を禁止することもできる、非常に強力な権利です。

奇しくも、本日届いた文化通信21世紀のコミック作家の著作権を考える会が発表した貸与ビジネススキームについての記事が載っていたが、それによると、3ヶ月間の貸与禁止期間を設定するとのことである。このことを見れば、「貸与権」が「禁止権」を含んだ非常に強力な権利であることが分かると思う。

音楽CDの環流禁止に比べて、書籍・雑誌への「貸与権」の適用は、大きな反対の声が上がっていないように思うが、法改正後にもたらされる影響は書籍・雑誌への「貸与権」適用のほうが大きいのではないかと、私は非常に恐れています。