貸与権管理センターの呆れた実態

昨日届いた「文化通信」に貸与権管理センターの使用料規定についての記事が掲載されていた。

貸与権管理センター 文化庁に 使用料規定提出
CDVJも合意、12月実施へ
文化通信. 2006年9月18日(月), No.3663, 5面

見出しにあるように、CDVJも合意しているとのこと。
また、記事中に9月1日現在での貸与権管理センターへの委託状況が記されている。

 同センターとは9月1日現在でコミック出版社を中心に17社が契約し、著作者1714人、1724タイトル、2万665アイテムが登録されている。

これって少なくないか?
書籍・雑誌に貸与権を適用する際になされた国会答弁では、4千800人の漫画家・作家が委託すると言っていたぞ。こちらのエントリを読み返して欲しい。

Copy & Copyright Diary - 出版物貸与権管理センターはどうなっているのだろうか
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20041208/p2

国会答弁の半分以下じゃないか。
貸与権が適用されてから約2年間も許諾業務が行えない、委託をしている著作者は国会答弁の半分以下、さらに雑誌や翻訳書の管理は行わないということは、国会での審議中は全くふれられなかった。
こんないい加減なことが許されて良いのか?
ここまでウソを重ねてなされた法改正が認められて良いのか?
国会の審議というのはその程度のモノなのか?
出版界は、作家は、漫画家は、国会でどんないい加減なことを言ってもいいと思っているのだろうか。
ふざけるのもいい加減にしてもらいたい。

図書館関係の権利制限について

図書館に関する調査・研究のページ “Current Awareness Portal” - CA1604 (No.289) - 日米における著作権法の図書館関係制限規定の見直しの動き / 鳥澤孝之 - 2006年発行(CA1582〜 ) - カレントアウェアネス (季刊)
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=1037

米国の動向については興味深いが、日本での改正動向について次のようにまとめているのには、反発を覚えた。

総じて見て,日本の議論は米国に比べると,デジタル化対応といった長期的な政策を踏まえた議論ではなく,現在の図書館の現場における利用者対応の中で生じた課題を扱っているといえる。これは,日本の図書館関係者の著作権に対する最大の関心が利用者からの苦情に関するものであり(18),また図書館政策全般を取りまとめる機関が日本に見当たらないことによると考えられる。

利用者からの苦情が最大の関心とは、図書館界著作権意識をなめていないか。
図書館業務を行う上で、著作権はあらゆる場面に関わってくる。その中で様々な矛盾に直面しているからこそ、現実に即した課題があがってくるのではないだろうか。
以下に紹介する本は、そのような著作権についての問題意識をベースに書かれている。
だからこそ、著作権について考える上で、図書館という枠を超えて参考になると思う。

もちろん、長期的な課題に取り組むことも必要だが、同時に、直面している課題について、真摯に取り組むべきだと、私は思う。