中野晴行氏の「まんが王国の興亡」が面白い

夏目房之介氏のブログで紹介されたので知って、年末年始に読んだんだけど、中野晴行氏の「まんが王国の興亡」が面白かった。

まんが王国の興亡 ―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか― 中野晴行 : イーブックイニシアティブジャパン - 電子書籍はeBookJapan : 総合図書
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まんが産業盛衰のメカニズムを解き明かす、まんが界初のまんが社会学入門書 中野晴行著 『まんが王国の興亡』 12月26日販売開始
ニュースリリース 電子書籍はeBookJapan
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まんが王国の興亡』発売記念特集 - 電子書籍はeBookJapan
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webでの連載を電子書籍として発売したもので、紙の書籍としては発売されていない。
中野氏は2004年にマンガ産業論を出しているが、本書はその続編とも言うべきもの。
前書はどちらかというと現状分析に力点が置かれているが、本書は現状分析よりも今後に向けての提言に力点が置かれているように思った。
4年間でそれだけマンガ産業が厳しくなったのかもしれないが、それ以上に、マンガ「文化」としては語られても、マンガ「産業」としては語られることが少ない中で、中野氏の提言が必要とされたというのがあるのだろう。
日本が誇るマンガ文化、と言うのであれば、それが産業として成り立つためにはどうすればいいのかを、本当は論じる必要があるのではないかと、本書を読んで改めて考えさせられた。
夏目氏がブログで次のようなエントリーを書かれている。

夏目房之介の「で?」 > 出版文化? : ITmedia オルタナティブ・ブログ
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/01/post-6e84.html

本書は、この問題意識と共通したものを、マンガに焦点を絞って書かれている。
電子書籍としてしか発行されていないので、どれだけの人に読まれるか分からないが、マンガ文化だとかコンテンツ産業について関心のある方は、絶対に読まなければいけないと思う。
なお本書の関連では、中野氏のマンガ産業論、そして夏目房之介氏のマンガ 世界戦略―カモネギ化するマンガ産業も本書と併せて読んでもらいたい。