「緊急財政対策の取組結果」における神奈川県立図書館・県立川崎図書館の見直しのロードマップについて

2月7日付けで神奈川県が「平成26年度当初予算案等の概要」を公表した。

平成26年度当初予算案等の概要 - 神奈川県ホームページ
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p753082.html

平成26年度当初予算案の概要 [PDFファイル/1.07MB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/686477.pdf

PDFの資料をテキスト検索したが「図書館」と言う文字はヒットしなかった。

同時に「緊急財政対策の取組結果」の資料も公表されている。*1

緊急財政対策の取組結果 [PDFファイル/575KB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/686517.pdf

こちらでは、「別表1 県有施設 見直しのロードマップ」で神奈川県立図書館と県立川崎図書館の見直しのロードマップが示されている。*2

ロードマップでは「取組の方向性」「これまでの取組状況(平成25年度)」「今後の取組状況(平成26年度、平成27年度以降)」が表形式でまとめられている。それについて紹介する。

神奈川県立図書館

「取組の方向性」は以下の通り。

生涯学習情報センターを廃止し、その機能を集約化
閲覧・貸出機能の継続
川崎図書館及びかながわ女性センターの蔵書の受入れ、相互貸借システムの拡充などの広域的サービスについて検討
収蔵スペースや展示機能の充実を図るため、建物の建替え・改修について検討

12月2日の県議会での黒岩知事答弁で述べられてはいたが*3、改めて「閲覧・貸出機能の継続」と「建物の建替え・改修について検討」が明記された。これによって、閲覧・貸出の継続されることが、明確になった。
「今後の取組状況」に置いては平成26年度に

収蔵スペースや展示機能の充実を図るため、建物の建替え・改修について検討

平成27年度以降に

改修等にかかる検討結果を踏まえた対応

となっている。
平成26年度にどのような検討が行われるのか、重要であるので、しっかりと注目したい。

神奈川県立川崎図書館

「取組の方向性」については

川崎図書館の特性・地域性を踏まえた機能への特化、市内への移転

となっており、1年前にあった「県立図書館への集約化に向けて調整」がようやく削除された。
これによって、初めて、県立川崎図書館の川崎市内での存続が明確になった。

県議会の答弁では昨年の2月21日に川崎市内での存続、3月11日のに殿町への移転、そして12月2日にKSPへの移転が示されていたが、それを反映した緊急財政対策における「見直しのロードマップ」はこれまで作られていなかった。県の緊急財政対策において、県立川崎図書何の川崎市内での存続は、今回初め明確に示されたのだ。*4

そして「今後の取組状況」では

29年度中に機能を特化し、かながわサイエンスパークに移転

と、KSPへの移転も明記された。

ここで気になるのは「機能を特化し」の所。
私は、現状において県立川崎図書館は充分に機能が特化されていると思う。
これ以上「特化」した場合、必要な機能を切り離してしまうのではないかと懸念する。

なお、神奈川県立図書館の「今後の取組状況」において

29年度中に川崎図書館の一部蔵書を受入れ

とされており、現在の川崎図書館の蔵書の全てがKSPに移転するわけでは無いということのようだ。
現状の川崎図書館の蔵書の一部を県立図書館に移管することで、川崎図書館の現在行っているサービスが維持できるのか、その観点からしっかりと検討してもらいたい。

*1:下記リンクの下に(緊急財政対策についてはこちらもご覧ください「神奈川県緊急財政対策について」)とリンクがはられているが、リンク先は「エラー404 お探しのページは存在しません。」となっているのは、あまりにもお粗末ではないだろうか。 /2014年2月10日追記:リンク先が表示されるようになった。

*2:1年前に「緊急財政対策の取組状況」が公表された際にエントリーを書いている。1年前の状況と比較する際に、参照いただきたい。http://d.hatena.ne.jp/copyright/20130219/p1

*3:県立図書館を建て替え視野に再整備 一転、貸し出し維持/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社 : http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1312020018/

*4:昨年5月30日に「県立の図書館についての意見交換会」に参加した際の県の説明では、集約先が県立図書館から殿町に新しく出来る産業情報センターに変わっただけで、集約化の方針に変更は無い旨の説明があった http://d.hatena.ne.jp/copyright/20130530/p1 県が作成した記録でも昨年2月に公表した「ロードマップ」はまだ生きている旨の説明が明記されている。 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f470252/ 第2回の記録参照