パロディについての検討がワーキングチームという密室の中で始まった

著作権分科会法制問題小委員会パロディワーキングチーム第1回議事要旨が公開された。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 権利制限の一般規定ワーキングチーム(議事要旨) | 平成21年第1回
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h24_parody_01/gijiyoshi.html

前にも批判したことがあるが、ワーキングチームでの検討内容は今回のように議事要旨では公開されるものの、その議事要旨を読んでも、どのような検討が行われたのかが全く分からないものである。

今回公開された議事要旨は

・ 本ワーキングチームのチーム員及び事務局の紹介が行われた。
・ 事務局より本ワーキングチームの今後の進め方について説明があった。
・ 上野チーム員より著作物のパロディの取扱いに関する論点整理の説明があり,質疑応答と意見交換を行った

これだけだ。
これを読んで、どのような検討が成されているのは全く分からない。
論点はどのように整理されて、どのような質疑があって、どのような意見交換が成されたのか、全く分からない。
この議事要旨では、ワーキングチームでどのような検討が成されたのかが全く分からない。

このワーキングチームでの検討内容は、これまでの他のワーキングチームでの検討結果の流れからすると、公開の場の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に報告されるまでは明らかにならないだろう。
そして法制問題小委員会では、その報告結果をそのまま認める流れになることが予想される。

そして、これまでのワーキングチームの報告がそのまま法改正に繋がったことを考えると、この密室のワーキングチームでの検討がそのままダイレクトに法改正に繋がってしまうだろう。

このようなプロセスで決定してしまうことは、非常に危険だ。
日本版フェアユースも、ワーキングチームという密室で骨抜きにされ、さらに内閣法制局という密室で単なる個別制限規定に変えられてしまった。

パロディの検討も密室の中で決められてしまえば、どんなひどい結果が出てくるか分かったものでは無い。

密室での検討にどれだけの正当性があるのか、本当に正当な検討が成されていると胸を張って主張できるというのであれば、ワーキングチームでの検討内容を全て公開して欲しい。すべきだろ。
本当に、しっかりした検討をしているのであれば、そのプロセスをオープンにした方が、より多くの人に納得してもらえると思うのだが。

非公開にすることで、かえって、密室で良からぬことを検討しているのではないか、という疑心暗鬼を生むことになると思う。
少なくとも私は、ワーキングチームという密室で検討していること自体で、このワーキングチームでの検討結果には相当な疑いを持ってしまう。