ワーキングチームという密室

いわゆる「マジコン」への規制を検討する為に設立された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会技術的保護手段ワーキングチームの第1回議事要旨が公開された。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 技術的保護手段ワーキングチーム(議事要旨) | 平成22年第1回
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_gijutsu_01/gijiyoshi.html

このワーキングチームは9月14日に開催されたものだ。
ワーキングチームの議事要旨は本日公開されたようだ。

ワーキングチーム設置を決めた際の法制問題小委員会の議事録は現時点では公開されていない。

文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 文化審議会著作権分科会 | 法制問題小委員会 | 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第9回)議事録
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_09/gijiyoshi.html

この法制問題小委員会については、次の報道がされている。

「マジコン」の規制強化目指し著作権法改正へ――文化審:ニュース
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20100907/1027355/

しかし、議事録が公開されていないので、きちんとした検証を行うことは現時点ではできない。*1


そして、ワーキングチームの議事要旨として記載されているのは以下のことで全てである。

  • 本ワーキングチームのチーム員及び事務局の紹介が行われた。
  • 被害実態及び技術的保護手段とその回避の実態について,中川チーム員及び酒井チーム員より発表があり,質疑応答と意見交換が行われた。
  • アクセスコントロールの回避規制を導入するとした場合の基本的な考え方などについて議論が行われた。

これだけの議事要旨では、どのような議論が行われたのかが全く分からない。


いわゆる日本版フェアユース、権利制限の一般規定についての検討の際にも、権利制限の一般規定ワーキングチームが設置され、ワーキングチームで集中検討が行われたが、ワーキングチームでの検討内容は、今回と同様程度しか公開されなかった。
法制問題小委員会に提出された報告書によって、その後の方向性が決定されてしまったが、その検討の経緯はブラックボックスのままである。


密室で方向性が決められてしまい、それがオープンになった時点では既定路線になっていて、それを覆すことは難しいことになっている、というのは、著作権法の改訂を決める手段として妥当なものだとは私には思えない。

文化庁が行っていることは密室での政策決定だ。


ワーキングチームの会合を公開にすべきだと思うし、議事要旨ではなく、ちゃんとした議事録を公開すべきである。
それができないのであるなら、ワーキングチームという手法はとるべきではない。


文化庁は、密室でしか物事を決めることができないのだろうか。
今の状況ではそう判断せざるを得ない。

*1:先のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/copyright/20100928/p1)では法制問題小委員会の開催から議事録の公開まで4ヶ月かかっていることを指摘している。