国会図書館の電子化に関する中川文部科学副大臣の記者会見での発言

1週間前にこの報道があった。

時事ドットコム:書籍のネット利用促進へ=補償配当制度を検討−中川文科副大臣
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010010600785

中川副文科相:書籍デジタル化での補償制度など協議へ - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100107k0000m040116000c.html

書籍データベース化、国内ルールを…文科副大臣 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100106-OYT1T01133.htm

書籍のデジタルアーカイブ、政府主導で著作権の補償制度を検討へ--文科省副大臣が表明:ニュース - CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20406312,00.htm


1月6日に行われた中川文部副大臣の記者会見についての記事だ。

中川副大臣記者会見録(平成22年1月6日):文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1288834.htm

文部科学省の大臣記者会見はその日の内にYouTubeの動画がアップされるが、テキスト化されるのに時間がかかる。
今日テキスト化されたのが掲載されたので読んでみた。
該当する箇所は次のところのようだ。

それから、もう一つは著作権の問題でして、グーグルが図書館の本をすべてデジタル化して、それに検索機能を持たせる形でビジネスモデル化したいということでアメリカでやり始めて、それが訴訟になって、ちょっと中途半端な形ですけれども、今落ち着いているということだと思います。それに対して、これはアメリカの問題だけじゃなくて日本でも、ここのところをどう整理していくかっていうことは、これまでは民間ベースの話だから文科省としてはコミットせずに民間同士で話し合ってもらうというスタンスでいたんですけれども、私の考え方としてはそうじゃなくて、私たちが一つの政治判断として中に入っていって、権利の調整をしていって、その上で一つの制度化をしていくようなシステムを作っていくということでないと駄目なんじゃないかということで問題意識を持ちまして、その準備を始めています。同時に総務省の方も内藤副大臣を中心に同じ様な問題意識で、総務省の方はメーカーとか、あるいはウェブを走らせている情報関連の企業とか、そういう立場からこれを整理をして欲しいということがあるわけですけれども、私たちは逆に著作権を持っている、創作活動をしている人たちと出版の関連の業界、あるいはそれを調整している団体という立場からの調整なんですが、それもちょっと合体させて、それで新しい形を作っていこうということです。ベースになるのは、今、国会図書館が一部デジタル化を始めています、昔の本から順番に。ところが話を聞いていると、国会図書館のデジタル化というのは検索できるデジタル化じゃなくて、平たく言えば写真に撮ってそれを収めているっていうか、デジタル化している。いわゆる写真部分でしか機能しないということなものですから、せっかく資金をかけているんで、このままでいくともったいないということもあって、それをベースに少し工夫をしながら権利調整をしていきたいということ。

記者)
著作権の関係なんですけれど2点教えて下さい。総務省の方と一緒になって検討をするというような御発言だったと思うんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

副大臣
最終的にはね。今はまだそこまでいっていないです。ちょっとそれぞれの立場をまとめてみようじゃないかということで、同じ様な懇談会形式にしながらですね、正式なものじゃないんですけれども、関係者に意見を聞かせていただいているところです。ここでまとめた上で両方合体して議論ができるんだったらやりますし、難しいような状況も出てくるかもしれないです、中身によってね。

記者)
基本的にはですね、公開しようということになると、公開したい側と使われる側かと思うんですが、現時点のスタンスとしてはネットで公開できる方向で、公開することを促進する形でまとめを提言するという理解をさせていただいてよろしいでしょうか。

副大臣
そうです。公開するということになると、それなりの補償をしていくということは当然あるわけで、それがどういう制度で、すべて公開事項というものが把握されて、それをどういうシステムで配当していくか、その権利を配当していくかというシステムをどう構築するかということによって賛成か反対かも決まってくるし、実際どれぐらいの配当になってくるのかということにもよるでしょうし。それからまた、出版社が難しいんですよね。出版社というのは元々そうした権利を持っていないところなんですけれども、恐らくデジタル化されれば一番影響が大きく出るのは出版関連だと思うんで、そこに対してどういう措置がとれるかということ、ここもちょっと工夫をしていかなきゃいけないところなのかなというところですね。そんなことをちょっと、今、聞き取りの中では、私も感じながら進めています。

記者)
結論の取りまとめまでが、だいぶ長い感じに考えていらっしゃいますか。

副大臣
ちょっと、やってみないと分からないですね。というのは、それぞれの団体がコンセンサスを作っていただくということがまず第一だと思うんで、そこがなかなか、今までできてないんですね。

記者)
その関連でもう一点ですが、あくまで書籍に限った、今のところの検討ということですか。

副大臣
今、始めたのはそうですね。他の分野でも同じようなことが出てくるんだと思うんですが。

記者)
著作権なんですけれど、さっき、書籍に限定すると言っていましたけれど、将来的には、やっぱり書籍を超えていくと。

副大臣
そうですね。

記者)
著作権についていうと、民法の特別法の位置付けもあると思うんですけれども、そこに政治判断として入っていくとおっしゃられていましたが、具体的にはどんなイメージでやっていくんでしょうか。

副大臣
話し合いの舞台を作るということだと思うんです、話し合っていく。最終的には、利害得失の調整ですから、それを法律で一方的にこうしろという話にはならないと思います。どこまでも関係者の話し合いの中でということになると思うんですが、いずれにしても、時代背景からいったらデジタル化されていくということはですね、これは、それらの業界も認識をされ始めてきていますので、どこかでそれは対応していかなきゃいけないんだろう、どっかでそのシステムを作っていかなきゃいけないんだろうっていう意識が出てきているのは確かなんで、その舞台を作るということだと思っています。放っておいても、なかなか話し合いにならないんでね。

補償制度のことは、記者の質疑で出てきている。
それの是非については、今回は述べないが、今回の記者会見で注目したいのは、国会図書館の電子化の方式について中川副大臣が言及している点だ。
その箇所を再度抜粋する。

ところが話を聞いていると、国会図書館のデジタル化というのは検索できるデジタル化じゃなくて、平たく言えば写真に撮ってそれを収めているっていうか、デジタル化している。いわゆる写真部分でしか機能しないということなものですから、せっかく資金をかけているんで、このままでいくともったいないということもあって、それをベースに少し工夫をしながら権利調整をしていきたいということ。

国会図書館のデジタル化はテキスト情報が無い点が不満であったが、中川副大臣もその点を問題視している。
これによって、全文検索が可能な方向に進むことを期待したい。