文化庁の「著作権テキスト」平成21年版が公開されていた。

文化庁がサイトに掲載している「著作権テキスト」、本日気づいたのだけど、平成21年版が公開されていた。

著作権テキスト(PDF形式(1.63MB))
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/chosaku_text_090601.pdf

ファイル名からすると、6月1日付で掲載されたようだが、文化庁のサイトの更新情報には掲載されていなかったので、全然気づかなかった。


新しい「著作権テキスト」でまず確認したのが、非営利・無料の権利制限に関する記述。


有料会員制度をとっている金沢文芸館が会員向けへの貸出を中止したことについて、このブログで何度も取り上げて来たが、私は非営利団体が行っている有料会員向けの無料貸出は「非営利・無料」の貸与に該当し、著作権は及ばないと考えている。
それは政府の答弁により明らかである。
しかし、その政府答弁の内容の周知が行き渡っていないために、金沢文芸館は有料会員向けの無料貸出を中止してしまった。
そこで、私は次のエントリで、文化庁が発行している「著作権入門」とこの「著作権テキスト」にその答弁の内容を是非とも掲載して欲しいと書いている。

金沢文芸館の残念な判断と文化庁へのお願い - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090513/p1

ということで、平成21年版の「著作権テキスト」の該当箇所を確認してみた。
すると、72ページ(ノンブルは69ページ)に以下の記述があった。

※ 本条にいう「営利」とは,反復継続して,その著作物の利用行為自体から直接的に利益を得る場合又はその行為が間接的に利益に具体的に寄与していると認められる場合をいいます。
また,本条にいう「料金」とは,どのような名義のものであるかを問わず,著作物の提供又は提示の対価としての性格を有するものをいいます。逆に言えば,授業料や入館料等を徴収している施設であっても,それらが著作物の提供又は提示の対価として徴収されているものでなければ,本条の「料金」には該当しません。

(強調:引用者)

この箇所は平成20年版には無かったものだ。*1
政府答弁という参照しにくいものではなく、文化庁の「著作権テキスト」にこの記述が加わった意義は非常に大きい。
文化庁の今回の対応は非常に評価する。

関連エントリ

入館料を取る文芸館での貸出と貸与権 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090226/p1

質問趣意書への政府答弁ではダメだ - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090228/p1

川内議員の質問趣意書 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090422/p1

金沢文芸館の残念な判断と文化庁へのお願い - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090513/p1

有料会員制図書館の会員向け貸出には貸与権は及ばない - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090604/p1

有料会員制の金沢文芸館の貸出中止、その後 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20090627/p1

*1:平成20年版のファイルは、リンクは無くなっているが、サーバからは削除されていない模様。このURLでアクセスできる。 http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/chosaku_text.pdf