私的録音録画補償金についての「権利者」側の会見

ブルーレイディスクへの私的録音録画補償金課金に関連して、「権利者」側が会見を行ったとの報道がなされている。

ブルーレイで著作権者訴え 4月から確実に課金を - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020501000793.html

「20XX年モデルには乗らない、パソコンにも補償金を」:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090205/324272/

「ブルーレイ課金は当然、早期実施を」権利者団体が意見表明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/02/05/22346.html

「BD課金の遅れは異常」――権利者団体、早期の開始求める - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/05/news120.html

デジタルチューナのみで補償金逃れのレコーダには「法的処置を」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090205/cf.htm

「BD/DAP課金の早期実現を」− 著作権利者団体が補償金制度の見直し訴え (1/3) - Phile-web
http://www.phileweb.com/news/d-av/200902/05/22977.html

Blu-ray課金は「現行制度の枠内で当然行われるべきこと」,権利者会議が会見 - 産業動向オブザーバ - Tech-On!
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090205/165301/

「権利者」側の私的録音録画補償金拡大の主張に賛同はしないが、なかなか興味深い発言があったようだ。

 両省大臣の合意から約7カ月が経過してもブルーレイに対する政令指定が行われなかったことについて、椎名氏は「極めて異例な事態」とコメント。日本音楽著作権協会JASRAC)常務理事の菅原瑞夫氏も「大臣の合意というのはそんなに軽い話だったのか」と不満を漏らした。

「ブルーレイ課金は当然、早期実施を」権利者団体が意見表明

確かに、合意から7ヶ月もかかったのは長すぎると思う。椎名氏や菅原氏の指摘ももっともだ。
その7ヶ月の間にどのようなことがあったのかについて、椎名氏は触れているがそれはともかくとして

また、今後のそのような議論は、省庁間の机の下ではなく、開かれた公開の場で行われるべきものと考えている。

「ブルーレイ課金は当然、早期実施を」権利者団体が意見表明

の指摘には賛同する。
大臣合意に基づく政令指定がなぜ遅れたのか、それらについて文化庁は明らかにして欲しい
そもそも、どのような合意がなされたのか、両大臣の記者会見で発表されただけで、合意内容を明確に示した資料は正式な形では公開されていないと思う。*1
これについても、きちんとした開示が必要だろう。そうでなければ、政令改正案の妥当性を判断することはできない。
なお、2009年度は、私的録音録画補償金についての議論は非公開でなされるらしいが、非公開の場での決定しても、皆を納得させることはできないだろう。


もう一点注目すべきは、「権利者」側が、文化庁が昨年1月17日の私的録音録画小委員会で提示した「折衷案」について「破棄されている」と名言したことだ。

 菅原氏は、「2008年の私的録音録画小委員会が結論を見ないまま終結したということは、(20XX年モデルという)文化庁の折衷案が飛んでいるということ。パソコンで私的録音録画ができることについてどう考えるのか、もう一回、補償金についてもっと突っ込んだ議論をすべき」と語り、20XX年モデルは既に破棄されているとの見解を示した。

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「折衷案」というのは、DRMを中心に据え将来的な私的録音録画補償金の廃止を示しつつも、ダビング10の実施にあたっては私的録音録画補償金課金を拡大する、というものだったと思う。

文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第16回)議事録・配付資料 [資料]−文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/08012107/001.htm

メーカー側はこれまでも文化庁の「折衷案」には同意していなかったが、これを「権利者」側が「破棄されている」と見なしていることは大きい。
文化庁がどうやって私的録音録画補償金の問題をまとめるのか、文化庁にまとめることができるのか、注目したい。

*1:2月3日のエントリに「匿名希望」氏がコメントで、情報公開請求で公開されたという合意文書を紹介してくださった。