文化庁のアンケートの概要

過去小委へのパブコメを提出していたので、本日、文化庁よりアンケートへの協力依頼のメールが届いた。

文化審議会著作権分科会「中間整理」意見募集ご回答者 各位

著作物の利用についてのアンケート調査
〜 ご協力のお願い 〜

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度は、文化審議会著作権分科会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会
中間整理」に関する意見募集の実施に際し、御意見を頂戴いたしまして、誠にありが
とうございました。
著作権に関する国民意識調査(調査標題は「著作物の利用についてのアンケート調査」)
をお願いしたく、アンケートフォームURLをお送りさせていただきます。
この調査は、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第5回)で発表されま
した著作権保護期間に関する意識調査を参考にし、東京大学の太田勝造教授の協力の
下に実施することとなりました。今回頂戴いたしました御意見とともに、現在進めら
れている著作権法制の改正のための参考にさせていただくために行うものです。おう
かがいする内容は、著作物の利用や法律に関する意識などです。
ご回答の内容は、「○○という回答が何パーセント」というように統計的処理をしま
すので、したがって、ご回答者の個人名や、ご回答内容の秘密は厳守されます。調査
結果の公表にあたっては、いかなる方法であってもご回答者やご回答内容の秘密が推
測されることは絶対にありません。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、どうか、調査の趣旨をご理解いただき、
ご協力下さいますようお願い申し上げます。


(以下略)

このアンケート調査の元となる調査について、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第5回)で発表したときの資料はこちら。

著作権保護期間に関する意識調査について(太田氏発表資料)(PDF形式(242KB))
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/05/pdf/shiryo_06.pdf

そして、この発表資料のベースとなる調査の報告は、次の本に掲載されています。質問項目もすべて掲載されています。

チャレンジする東大法科大学院生―社会科学としての家族法・知的財産法の探究

チャレンジする東大法科大学院生―社会科学としての家族法・知的財産法の探究


私もこのアンケートに回答しましたが、質問内容については、この本に掲載されている質問票と比較しながら回答していきました。そして元の調査と質問が違う箇所については、メモを取りながら回答したので、一応すべての質問を把握できました。
そこで、今回文化庁が行っている「著作物の利用についてのアンケート調査」の調査内容を紹介します。

著作権の利用に関する意識について

Q1〜Q13は、元の調査の質問項目と全く同じで、「この行為は非難されるべきか否か」という設問です。どのような行為について質問しているかは、上で紹介したPDF資料の6〜7頁に記載されています。

1.著作権保護意識について


Q1.大学生のAさんは、2万円で購入したワープロソフトのCDを10枚コ
ピーし、秋葉原の路上で、1枚3千円で10枚全部を販売しました。Aさんは、
ワープロソフトのメーカーから許可を受けていません。Aさんの行為は非難さ
れるべきだと思いますか、それとも、非難されるべきではないと思いますか。
1───── 2 ───── 3 ───── 4 ───── 5
非難されるべきどちらともいえない非難されるべきではない


Q2.中学生のAさんは、図書館で調べものをして、本の1ページをコピーし
て持ち帰りました。


Q3.高校生のAさんは、レンタルCD屋に行って、人気ロックバンドの音楽
CDを借りました。そして、これを5枚コピーして、5人のクラスメイトに1
枚ずつプレゼントしました。


Q4.主婦のAさんは、人気アイドルのコンサートのDVDを6千円で購入し、
内容全部(3時間)をインターネット上に公開しました。これにより、このD
VDの内容を誰でも無料で見られるようになりました。


Q5.Aさんは、年賀状に人気漫画の登場人物の絵を描いて、100人の友人
に送りました。誰が見てもその登場人物とわかる上手な絵です。


Q6.高校生のAさんは人気アニメのキャラクターを雑誌から拡大コピーして
文化祭のお店のポスターを作り、宣伝用に学校内に10枚貼り出しました。


Q7.町の商店街でおもちゃ屋さんを経営しているAさんは、人気アニメの
キャラクターを雑誌から切り貼りして、特売用のチラシを作り、1千枚配りま
した。


Q8.Aさんは高校の英語教師です。Aさんは、アメリカ映画のDVDを、
授業で40人の生徒に上映しました。


Q9.大学生のAさんは、人気テレビドラマの主人公が登場するシーンを、
5分程度抜き出したダイジェスト(抜粋版)映像をパソコンで作成しました。
Aさんは、これをインターネットで公開し、無料で誰でも見られるようにし
ました。


Q10.大学生のAさんは、アメリカの有名な短編小説(未翻訳で、10ペー
ジほどのもの)を翻訳し、50部印刷して、クラスメイトに配りました。


Q11.女子大生のAさんは、最近売り出された恋愛映画のDVDのコピーを
30枚作りました。そして、それを、通信販売の形で、1枚千円で30枚全
部を販売しました。


Q12.会社員のAさんは、先週の大河ドラマを録画しました。そして、それ
を見逃したという同僚のBさんに、貸してあげました。


Q13.大学生のAさんは、公務員試験を受験しようとしています。B予備校
のテキストが良いと聞きましたが、これを入手するにはB予備校の講習を受
講することが必要であり、受講には5万円必要だということがわかりました。
そこで、同じように受験を考えている同級生4人と、費用を頭割りにするこ
とにしました。Aさんは、自分が講習を受講し、その講習のテキストを4部
コピーして彼らに手渡して、各人から1万円を受取りました。

著作権法について

Q14は元の調査のQ14、Q15をまとめた質問で、「著作権法の条文を読んだことがあるか」という質問。
Q15は元の調査のQ16と全く同じで、「著作権法について学んだことがあるか」という質問。
Q16は元の調査のQ17と全く同じで、「著作権法違反をした場合の不利益(罰則)」についての質問。

保護期間の延長の是非について

Q17〜Q20は元の調査ではあまり詳しく調査していなかったところで、望ましい著作権保護期間は何年か、著作権保護期間を著作者の没後70年に延長することの是非についての質問です。
Q17では、現行の著作権法における著作権保護期間が著作者の没後(もしくは公表後)何年であるか、そしてその回答にあなたはどれだけ自信があるか、という質問。
Q18は元の調査のQ18と同じ質問で、現行の保護期間が長いか短いかという質問。
Q19とQ20は著作権保護期間の延長の是非について、4つの観点から、それぞれの理由で延長すべきか反対かを質問している。

法律一般に対する意識について

Q21〜Q23は元の調査のQ19〜Q21と全く同じで、遵法意識を尋ねるものです。

趣味とネットの利用状況について

Q24は元の調査のQ23と同じで、趣味は何かという質問。
Q25は元の調査のQ24を修正した質問で、ネット・携帯の使用状況についての質問。

属性・経済状況・生活満足度について

Q26以降は元の調査のQ28以降と同じで、回答者の属性、経済的な状況、生活への満足度についての質問。



以上がアンケート調査の概要です。


このアンケート調査がどのような結果を出すのか、そして文化庁がどのような方向に進めようとするのか、チェックしていく必要があると思います。