私的録音録画補償金・私的複製の行方

本日開催された文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会で、この小委員会での結論が見えてきたようだ。
いくつかの報道がなされているが、それを紹介したあとで、論点を整理してみる。
とりあえず、現時点で確認できた報道は以下のものがある。通信社が配信したものについては、省略する。

時事ドットコム:iPod課金、決着先送りへ=提案に賛否両論−文化審小委
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008102000434

文化庁、“iPod課金”結論を先送りへ〜依然として合意得られず
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/20/21241.html

補償金制度見直しは来年度以降に先送りへ,文化庁・録音録画小委の第4回会合:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081020/317300/

補償金は2008年度も結論見送り、2009年度以降は「新たな議論の場」も検討:ニュース
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20081020/1008968/

私的録音録画小委員会:“iPod課金”見送り ダウンロード違法化へ - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/20/news077.html

iPod課金は継続審議 著作権料上乗せ、メーカー側反対
http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102001000504.html

iPodへの著作権料上乗せ、結論先送りへ 文化審議会
NIKKEI NET(日経ネット):社会ニュース−内外の事件・事故や社会問題から話題のニュースまで
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081020AT1G2002T20102008.html

報道によって、微妙に表現が違うものもあるが、これらの報道から現状をまとめてみたい。

iPodへの私的録音録画補償金課金は結論持ち越し

いわゆるiPod課税については、今年度では結論を出さず、次年度以降に持ち越しということになったようだ。
権利者側とメーカー側での妥協点が見いだされなかったとのこと。

ブルーレイディスクブルーレイディスク録画機への私的録音録画補償金課金は、どうなるか微妙

PC Olineの記事でだけ言及されているが、ブルーレイディスクと録画機への私的録音録画補償金課金については、文化庁経産省の間で合意がなされているので、調整の上で課金するとのこと。
ただし、まだ具体的にはめどは立っていないとのこと。

ダウンロード違法化は推進

昨年度、パブリックコメントで7000を超える反対意見が集まったにも関わらず、昨年度の小委員会においてはダウンロード違法化はほぼ確定していたが、私的録音録画補償金の結論が出なかったために、法改正には至っていなかった。
私的録音録画補償金については、今年度も結論が出ないが、ダウンロード違法化と私的録音録画補償金を切り分けることで、法改正を進めるとのこと。
結論自体は1年前に出ていたものを、そのまま進めるということなので、さらなる議論が行われる可能性は低いだろう。

来年度の検討は「非公式」and/or「非公開」

私的録音録画補償金についての検討は、来年度は文化審議会著作権分科会の小委員会では行われず、「非公式」かつ/または「非公開」で行われる可能性が高い。
共同通信の記事では

文化庁内には「非公開で利害を調整する場が必要」との見方が多く、来年からは小委とは別に協議の場を設ける可能性がある。
(強調:引用者)

とあり、一方ITmediaの記事では

川瀬室長は「個人的な意見」と断った上で、任期終了後は新たに小委員会を開かず、非公式な調整の場を設けたほうがいいのでは、と話す。
(強調:引用者)

とある。
「非公式」であれ「非公開」であれ、私たちのその検討の経緯が明らかにされない可能性が大きいと言うことだ。
つまり「密室」で決める可能性が大きい、ということだ。
来年度、ある日突然、iPod課税が決まっている、ということもあり得る。
この点は、注意しておきたい。



以上が、記事から分かることだ。
このような状況の中で、どうすれば良いのか、正直分からないが、ただ現状を見過ごすことはしたくない。
自分としてできることを見つけるつもりだ。