iPodへの私的録音録画補償金の課金

様々なところで報道されていますが、文化庁iPod等の携帯音楽プレーヤーを私的録音録画補償金の対象とすることを決めたようだ。

これまで私は、DRM私的録音録画補償金の二者択一なら補償金を選ぶ、としてきましたが、DRM云々についての議論も無く、一方的に補償金のみを拡大する、今回の文化庁の動きについては、明確に反対の立場を取ります。

いくつかの報道の中で一番気になったのは、次の記事。

iPodも「私的録音録画補償金」の"課金対象"に - 文化庁が制度見直し案 | ネット | マイコミジャーナル
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/08/028/

この記事の最後の箇所で、メーカー側の反対に対して

文化庁長官官房 著作権課 著作物流通推進室 企画調査係長の清田正郁氏は、「私的録音録画補償金制度については、基本的には縮小・廃止の方向にあり、今回文化庁から示した案も暫定的なものといえる。今後も委員会で権利者とメーカーの調整の進展を促していきたい」と話している。

とのところ。

権利者とメーカーが納得すれば、補償金を拡大できると、文化庁が考えているように思う。

はたして、権利者とメーカーだけが納得すれば、それで問題ないのだろうか。

そんなことはない。

私的録音録画補償金を払うのはユーザーだ。
今一番しなければならないことは、ユーザーに対して、私的録音録画補償金制度の意義、必要性について、納得のいく説明をすることだ。

納得のできる説明が無ければ、いくら私的録音録画補償金の課金対象を拡大しても、ユーザーは音楽から離れるだけだろう。
自分が買ったCDをiPodに入れて、権利者にどのような経済的不利益をもたらすのか、iTunes Storeで買った曲をiPodに入れて、権利者にどのような経済的不利益をもたらすのか。
そういった疑問に対して、納得のできる説明ができなければ、ユーザーからお金を徴収することは、本来できないはずだ。
そういうことをしないで、ユーザーを蚊帳の外においたままでいくら制度を決めても、そんなものには何の意味も無いし、私は従いたいとは思わない。

誰に対して理解を求めなければならないのか、そのことを勘違いしたままで物事を進めては困るし、それは絶対にしてはならない。