権利制限の意味

昨日のNEWS23で「高校の文化祭 生徒の演劇に著作権料?」という特集をやっていました。
文化祭での演劇の上演に著作権料を要求されるケースが増えているとのものでした。
もちろん、著作権法第38条第1項で、非営利かつ無料の上演には著作権者の権利は及びません。*1
2年前に都立青山高校に対して、著作権料を払うようにとの連絡をした著作権管理会社のインターナショナル・ミュージカル新社の西村英方社長がインタビューに答えていて、文化祭では上演時間の関係でオリジナル作品を短縮版に改変している、「同一性保持権を侵害しているので、教育目的であっても著作権料を支払うべきだ。払えないというのなら、あきらめてもらうしかない」という趣旨のことを述べていた。
このケースであれば、「やむを得ない改変」で争うこともできるとは思うが、学校が裁判沙汰にはしたくないだろう。そのために、「権利者」の言い分を飲まざるを得なくなる。
人格権を持ち出すことで、権利制限を無効にできるというのであれば、権利制限なんてほとんど意味がなくなってしまう。何のために権利制限されているのか、その意味をもっと考えるべきケースだと思う。

*1:番組中では、教育目的であることも条件に加えていましたが、教育目的でなくても第38条第1項は適用されます。