過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会議事録を読む−音楽分野

音楽分野では日本音楽作家団体協議会の川口真氏と社団法人音楽出版社協会朝妻一郎氏からヒアリングを行っていますが、配付資料は日本音楽作家団体協議会、社団法人音楽出版社協会、社団法人日本音楽著作権協会の3団体連名のものです。

文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)議事録・配付資料−文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm

配付資料
日本音楽作家団体協議会、社団法人音楽出版社協会、社団法人日本音楽著作権協会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102/004.htm

川口真氏

著作権を保護することが著作物の円滑な利用や流通を妨げているという意見や、早く保護期間が終わってPDになって、ただで使えるほうが良いではないかという意見は間違っていると私は思います。これは文化・芸術をただ経済的な合理性の面からのみ見ているということで、間違っていると思うわけであります。

「円滑な利用や流通を妨げている」という意見は「文化・芸術をただ経済的な合理性の面からのみ見ている」訳では無いと思います。利用されない、流通しない著作物が増えることは、文化的な面から考えて、良くないと思うのだが。

あるいはまた、日本の作家の作品がほとんどの諸外国で70年の保護を受けているのに、自分の国では死後50年しか受けられない。これはおかしいと僕は思います。

これは川口氏の誤解。
保護期間については相互主義なので、死後70年の国においても日本の著作物は原則として死後50年しか保護されません。

朝妻一郎

特に現在、日本の基本方針として、コンテンツの流通促進が打ち出されている時にあっては、日本だけが自分たちに有利な特別なルールを使っている現状は、海外諸国からしても無視できない大きな問題になっていて、一日も早い解決が求められています。

日本だけが特別なルールというのは違うと思います。国際間のルールはやはり条約です。

質疑

中山委員の質問。

ただ文化の発展には著作権法の保護が必要であるというのはその通りなんですが、今問題になっているのは、50年を70年にするとどのくらい文化の発展に役に立つかという、その1点なんです。
(中略)
果たして20年延ばすことによってどのくらい情報の豊富化に役に立つのかという、そのあたりのことをちょっとお聞かせ願いたい思います。

この質問が、延長を巡る議論の本質だと思います。保護期間を20年延長することで、社会にとって文化にとってどれだけプラスになるのか、それが提示されなければ議論にならないでしょう。
しかし川口氏は

経済的なことだけで言っているんじゃなくて、それからどのぐらいの利益があるとか、そういうことではなくて、そういうふうに延ばしたほうが文化・芸術の発展に役立つのではないかとしか思えないので、そういう主張をしているのでありまして、延ばしたことがどのぐらい役に立つだろうかということは私は分かりません。

と、ちゃんとした答えを持っていませんでした。