「創」に貸与権の記事

「創」最新号(2007年6月号)の「マンガという表現」という特集に、貸与権の記事が掲載されています。

長岡義幸. マンガの貸与権とレンタルコミックの行方.
創. Vol.37, No.6, p.86-91,(2007)

今年の2月に貸与権管理センターが正式稼働し始めたことについて、貸与権の導入から現在までのの経緯についてまとめた記事。
よくまとまっていると思う。


が、正直なところ、読んでいてぬるいというか、物足りない。
例えば

貸与権を簡単に説明すると(中略)になる制度だ。その制度がこの2月、正式運用となった。レンタルコミックがいわば“合法化”したことから(後略)
(強調:引用者)

と言うような記述があるが、書籍・雑誌への貸与権適用を盛り込んだ著作権法改正は2005年1月1日に施行されていて、法的には2年以上前に「正式運用」されている。そして、2004年12月31日まで“合法”だったレンタルコミックが“違法状態”に置かれた。それは許諾を取るためのシステムを構築すると国会の場で約束していたにもかかわらず、出版界側がその約束を果たさなかった為である。このような経緯を考えれば、上記の記述には問題が多い。
他にも、事実としては間違っていないが、その背景となる問題点を全く指摘せずに書いている箇所が見受けられ、読んでいて不満がたまるだけだった。