不明確だった訳じゃない

貸与権管理センターが、書籍・雑誌への貸与権適用から2年以上も過ぎてから、不十分ながらもようやく許諾業務をはじめたのにともない、CCCなどがレンタルコミックに参入し始めている。
それについて、新聞などで報道がなされているが、ちゃんとした事実関係を伝えていないものが目につく。
この記事もそのひとつ。

asahi.com :とれんどサーチ - be on Sunday
貸与権」明文化で参入急増 コミックスレンタル
http://www.be.asahi.com/be_s/20070225/22DNS080.html

タイトルからしておかしい。
貸与権」については、これまでもきちんと「明文化」されていた。
2004年12月31日までは、書籍・雑誌には「適用しない」と附則に明記されいた。2005年1月1日以降はその附則が削除され、適用されることになったわけで、「明文化」されていなかったわけではない。
つまり、著作権者に無許諾で行う書籍・雑誌の(営利目的もしくは有料の)貸与は、2004年12月31日までは明らかに合法で、2005年1月1日以降は明らかに違法なわけだ。
記事にあるように

それまで、貸本ビジネスは作家に使用料を支払う義務がなく、著作権侵害なのに「合法」扱いという分かりにくさがあった。

わけではない。
あくまでそれは権利者が権利行使をしなかっただけの話。
そして、なぜ権利行使をしなかったかというと、権利者側が法改正の時に国会の場で約束した許諾システムを作ることができなかったためだ。

法的にはきちんと明文化されていて、違法・適法についても明確だった。
それを「不明確」というのはおかしいと思う。

あくまで「不明確」だったのは許諾システムについてで、それを明確にできなかったのは権利者側である。
そのことをちゃんと捕らえた上で、記事を書いて欲しい。