絶版書籍のネット公開

1月5日付けで日経新聞に次の記事が掲載されています。

NIKKEI NET:主要ニュース
絶版書籍、ネット閲覧可能に・政府が著作権法改正へ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070105AT3S0300305012007.html

基本的には歓迎ですが、ネットだけでなく、図書館での利用についても考えていただきたい。
著作権法第31条は図書館等における複製権の制限規定で、これがあるために図書館においては、著作権が存続する著作物の半分以上をコピーすることはできない。*1*2しかし、雑誌・新聞などの定期刊行物の最新号以外については、全文コピーすることができる。それは第31条の第1号に次の規定があるからだ。

一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合

(強調:引用者)

なお、次の号が出たら「発行後相当期間を経過した」と通常は判断されます。

定期刊行物に関する「発行後相当期間」とはどの程度と考えたら良いのでしょうか
http://www.cric.or.jp/qa/cs03/cs03_5_qa.html

そこで大きな矛盾が生じている。
ある論文が雑誌に掲載されている場合は、次の号が出たら図書館で全文をコピーすることができるが、論文集に掲載された場合は、10年経って絶版になっていても、図書館でコピーできるのは半分までで、全文をコピーするには著作権者の許諾を得なければならない。
発行の形態によって、変わってきてしまう。
日経の記事に

入手困難な出版物を利用しやすくし、研究活動の促進などにつなげる狙いだ。

とあるが、それならば絶版になった書籍に関しては、是非とも全文を複写できるようにしてもらいたい。

*1:著作権が存続していない著作物については、もちろん全文コピーが可能です。

*2:著作権者から許諾を得れば全文コピーは可能です。