文化庁著作権課甲野課長の講演録

図書館でコピーしてきた。

甲野正道. 著作権業背をめぐる最新の動向について.
コピライト. 2006年9月号, p.2-26.

著作権情報センターが6月14日に開催した特別著作権研究会で、文化庁著作権課の甲野課長が行った講演の講演録。
まだ、ざっと目を通しただけだが、甲野課長がどういう方向で著作権行政を行って行こうとしているかがかいま見えて興味深い。
特に「著作権の保護期間の延長」について述べたところでは、賛否両論をあげながらも、賛成の方向に誘導しているように、私には思えた。
延長反対の考えについて、次のように矮小化しているのは、許し難い。

反対している理由というのはさまざまありまして、そもそも権利者は横暴であってけしからんという考え方を持っている方が、この保護期間延長も横暴な要望だからということで、反対しているというような感じもいたしますし、そもそもアメリカで延長されたときには、「ミッキーマウスの延命」のような形でなされ、そのような保護の延長はおかしいという議論がなされましたので、そうした事情が背景にあって、反対しているような事情もあるのではないかと思います。

これまで私が紹介してきた著作権延長反対論は、そのようなものではない。

Copy & Copyright Diary - 著作権保護期間延長について考える上で必読の記事
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20060911/p1

Copy & Copyright Diary - これだけは読んで欲しい
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20060917/p1

Copy & Copyright Diary - 日本の論点
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20060928/p2

これらを読めば、「横暴な要望だから反対している」というレベルではないことが分かるはずだ。
それよりも、「ミッキーマウスの延命」をあげているが、文化庁だって、特定の映画を保護するために保護期間の延長を行ったと、甲野課長自身が語っていたではないか。*1
著作権保護期間延長反対は、ミッキーマウスうんぬんではなく、文化庁著作権行政自体に対する異議申し立てでもあると言うことを認識してもらいたい。

*1:その当時の文化庁著作権課の課長は岡本薫氏