著作物は誰の物

復刊ドットコムblogの次のエントリを読んで、複雑な思いにかられました。

復刊ドットコムblog: 佐々木丸美復活!
http://blog.book-ing.co.jp/message/2006/08/post_667d.html

私は佐々木丸美氏の本は読んだことはありませんが、復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネスで、復刊を断念するケースとして紹介されていたのを読んで、そのエピソードが印象に残っています。
復刊ドットコムの左田野氏が、復刊を拒む佐々木氏に対して

著作物は法的には著作権者の物ではあるが、それをリリースした後は、道義的には読者の物でもあるはずという思いを伝えました。

復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス 174p.

との箇所は、非常に共感を覚えました。
しかし、佐々木氏の意志は堅く、復刊を断念したとのことです。
ところがその佐々木氏の著書の復刊が決まったとのこと。
上記エントリを読んで知ったのだが、佐々木氏は昨年お亡くなりになり、そのことで復刊の道が開けたとのこと。

私は、上記引用部の左田野氏の意見を全面的に支持するので、復刊については喜ばしいと思うのだが、著者が故人となったことで復刊が決まったという経緯には、何とも言えない複雑な思いを抱いた。


佐々木丸美氏の復刊運動&ファンサイトで、今回の復刊決定についての案内が掲載されているが、

丸美さんがいなくなっての復刊を喜ぶファンは、誰もいないでしょう。思いは複雑です。私自身、気持ちの整理がつかず、復刊話を進めながらも現実感がありませんでした。

と、複雑な思いを吐露している。
復刊を望む読者がいて、それを可能にするシステムがあって、著者も快諾するという状況が理想的だと思うが、著者がそれを拒んだ場合は著者の意向に従わざるを得ない現状には、疑問が残る。