模写と著作権

Yahoo!ニュース - 共同通信 - 出版社に支払い命令 模写絵の著作権東京地裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000159-kyodo-soci

模写は「複製」に過ぎないと思っていたので、このニュースには驚きました。
このニュースによると、

判決理由で設楽隆一裁判長は「模写した作品に制作者による新たな創作的表現が付与されている場合、作品は原画の2次的著作物として著作物性を有する」との判断を示した。

「新たな創作的表現が付与されている」ものを「模写」と呼んで良いのかどうか、少々疑問ではありますが、「創作的表現が付与されている」のであれば、それは著作物として保護されるべきだと思います。
ただし、今回のケースの場合、「模写」の対象となった著作物が「江戸時代の挿絵など」であることが重要です。
「江戸時代の挿絵など」の場合、すでに著作権が切れています。だから「新たな創作的表現」を付与したとしても、問題にはなりません。
仮に、もとの著作物の著作権が存続していた場合、「同一性保持権」や「翻案権」等の侵害になるでしょう。
そう考えた場合、今回の判例は、「模写」という行為に著作権を認めた、という点よりも、「模写」という行為に、「同一性保持権」や「翻案権」等の侵害の可能性がある、という判断を下したという点の方に注目すべきだと思います。