映画の著作権

駒沢公園行政書士事務所日記で紹介されていました。

映画の著作権、認めよ 監督90人、演じて訴え
朝日新聞(夕刊). 2006年2月6日(月)15面

映画の著作物については、劇場公開映画を前提とした制度となっていて、著作権法第29条で自動的に映画の著作者から制作者に権利の帰属が移転するのも、劇場用映画を製作するのに、巨額の資本投下が必要であることから、このような規定になっている。

(映画の著作物の著作権の帰属)
第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。

また、映画の配給という流通制度を前提として、頒布権という権利が映画の著作物にだけ特別に与えられている。

(頒布権)
第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
2 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。

頒布権は、貸与権と譲渡権を合わせた権利で、一般的には消尽しないものとされている。
しかし、映画の著作物は劇場用映画に限らない。テレビゲームが映画の著作物として認められたケースもあるし、ビデオカメラなどの普及により、個人が映画の著作物を制作するのも容易になっている。ほぼ一人でアニメーションを作ってしまった「ほしのこえ」という例もある。
また、劇場用映画でもDVDという安価な媒体で一般ユーザーが購入することも、一般化している。
このような中で、劇場用映画を前提とした現行の制度とは合わなくなってきているところがあると思う。
映画監督たちが、このような状況をふまえた上で29条の改正を主張しているのであれば、注目したい。
そうであるなら、当然頒布権は廃止して、他の著作物と同様に貸与権と譲渡権にして、さらに譲渡権は消尽する、ということも主張してもらいたい。
また、存続期間についても、公開後70年から著作者の没後50年にすべきという主張も一緒に出てくるべきでしょう。*1

*1:そうなると、大半の場合保護期間は延長されてしまうが