「ハードディスク内蔵型録音機器等」の「等」

フォーラムの準備で「審議の経過」を読んでいて、一つ気になったことがあります。
iPodにはハードディスクの「iPod」とフラッシュメモリの「iPod shuffle」「iPod nano」があるけど、shuffleとnanoは対象になるのだろうか、ということです。
「審議の経過」には「ハードディスク内蔵型録音機器等」とあるけど、「等」にshuffleとnanoが入るのか。
法制問題小委員会の議事録を調べてみたら、どうも入りそうです。
まず。第3回法制問題小委員会の配布資料に、社団法人日本音楽著作権協会等関係権利者7団体が作成した「私的録音録画補償金の見直しについて」という資料があります。その資料に「ハードディスク内蔵型録音機器等を私的録音補償金の対象とすべきである。」とあるのですが、そこに

昨年来、ハードディスク内蔵型録音機器(例えば、iPodやネットワーク・ウォークマン等)やフラッシュメモリ内蔵型録音機器の普及が急速に進んでいる。これらの録音機器(添付資料1号(PDF:46KB)参照)は、以下の理由により、私的録音補償金の対象とすべき製品であり、早急に政令により指定すべきである。
(強調:引用者)

とあります。
つまり、「ハードディスク内蔵型録音機器等」の「等」は「フラッシュメモリ内蔵型録音機器」だということです。
またさらに、第5回の法制問題小委員会の議事録では、ヒアリング対象者のJEITAの亀井氏が

したがいまして、こういう携帯音楽プレーヤーと呼ばれるものも、これはハードディスクが積んであるものもフラッシュメモリが積んであるものも同じでございますけれども、

と発言しています。
またその後、法制問題小委員会加藤委員から事務局に対して「アップルからも意見聴取する必要があるのでは」との指摘があったが、それへの回答の中で文化庁著作権吉川課長(当時)が

また、特定の会社の名前が出ましたけれども、様々なメーカーがすでにハードディスクないしはフラッシュメモリ内蔵型録音機器を出しておられまして、これまでサーラあるいはサーブの活動に、あるいはこの制度誕生の時から深く関わっておられる製造業を代表する団体を構成している主要な企業、こちらに各社いらっしゃいますけれども、代表的なメーカーの方には参加していただいております。
(強調:引用者)

と発言しています。つまり、当時の著作権課長はフラッシュメモリ内蔵型の録音機器も、対象となると考えていたようです。
なので、「ハードディスク内蔵型録音機器等」の「等」は「フラッシュメモリ内蔵型録音機器」も入ると考えておいた方がいいでしょう。

しかし、「等」に入るのは他にもあるかもしれません。
というのも、昨年の第4回法制問題小委員会で「著作権法に係る検討事項(案)」について検討した際に、法制問題小委員会の浜野理事が次のように発言しているからです。

さらに、デジタル技術は急激に非常に進行し、ハードディスク内蔵型録音機というのも、来年からミュージッククリップの動画配信が予定されています。1ページの1.(2)で録音機器等の「等」という言葉に映像も含まれていると思いますが、ぜひそういった技術の進行も見越した御配慮をいただくとありがたいと思います。

表現が曖昧なので、どう解釈したらいいか迷うところだが、iPodには動画も配信されるのだから、「私的録音補償金」だけでなく「私的録画補償金」も課すべきだ、ということではないかと思います。
その後の審議の中では、ミュージッククリップの動画配信については、話題にあがっていないようなので、今回の「審議の経過」における「ハードディスク内蔵型録音機器等」の「等」にこのことが含まれるのかどうかはわかりませんが、議事録に残っているという点には注意しておいた方がいいでしょう。