震災文庫

阪神淡路大震災と図書館活動―神戸大学「震災文庫」の挑戦

阪神淡路大震災と図書館活動―神戸大学「震災文庫」の挑戦

書店で見つけて購入。*1
全91ページなので、一気に読了しました。

阪神・淡路大震災に関わる資料を網羅的に収集し、一般に公開している神戸大学「震災文庫」について、立ち上げから現在までの経緯と、その活動内容を紹介しています。

震災文庫では、図書・雑誌・新聞記事と言った、商業的に流通している出版物に限らず、ボランティア関係の資料、行政資料など、非常に多岐にわたって資料を収集、提供しています。
そして、著作権者から許諾のとれたものは、デジタル化を行いインターネット上でデジタルギャラリーとして公開しています。

実は震災文庫とは縁があって、以前とある学会の理事をやっていた際に、震災文庫から資料の提供依頼を受けたことがあります。その資料は学会のウェブサイトにも掲載していたので、そのウェブサイトの情報を「震災文庫」の収集資料として扱ってもらうことになったと記憶しています。*2
当時は、その資料にそれだけの価値があるのかどうか、きちんと理解していなかったのですが、本書を読んで震災に関わる資料を網羅的に収集することの意義を少し理解することができました。

震災文庫は神戸大学ならではの活動だと思いますが、本書の中でトルコで大地震がおきた際にトルコからの情報提供依頼に応えた例が紹介されているように、「地震」という非常に普遍的な主題についての情報提供活動とも言えると思います。
このような活動は、応援したくなります。

なお、2000年の時点でAcademic Resource Guideに震災文庫の記事が掲載されています。

[ARG-055]2000年02月15日号
「『震災文庫』のこれまでとこれから −電子図書館を中心に」
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/055.html#C

*1:本書は今年の3月に発行されていました。その書店には何回か行っているのだけど、何で気付かなかったのだろう

*2:震災文庫の収集資料で、WWWは今でもその資料だけです