7万点は多すぎるか、多すぎないか
版元ドットコム 版元日誌〈(その2)自由な社会への道と版元ドットコムとの関係を考えてみた〉
http://www.hanmoto.com/diary/diary050518-1.html?top
ポット出版の沢辺氏は、年間7万点という出版点数について、
一年間の新刊点数が7万点をこえています。一日に250点ほどになるようです。
この「7万点」という数字をめぐっては、作りすぎだとか、粗製乱造などというように言われています。
でも、ぼくはどうもその「粗製乱造」論に納得がいきません。実際7万点が「正しい」新刊点数かはよくわからないし、正しい新刊点数を考えたり決めようとしてもあまり意味があるとは思えません。
しかし、7万点という数はともかくとして、たくさんの本を出すことができる状態はとてもいい状態だと思います。
この、出せる自由、がぼくらの自由の度合いを表す指標となると思うからです。
と述べています。
私も「出せる自由」は大きい方が良いと思います。
しかし、7万点という出版点数は、やはり多すぎると思います。
毎日250点の新刊が出版される状況では、どんな本が出版されたのかをチェックするだけでも大きな手間です。
オンライン書店の新着情報をチェックすればいいじゃないか、メールサービスを利用すれば良いではないか、と言われるかもしれないが、やはり私にとっては、少々手間が大きいです。
また、本との偶然の出会いも減るのではないでしょうか。
全国の書店で、毎日250点の新刊をすべて揃えられる書店は数が限られます。
私の場合、横浜駅周辺の書店をよく利用していますが、それでも見逃してしまう本も多いです。
また、1冊の本が店頭に置かれる期間も短くなるのではないでしょうか。
図書館に否定的な作家達はよく、店頭には3ヶ月しか置かれないのだから、その間は図書館で貸出するな、と言うことを言いますが、私の実感では3ヶ月置かれれば長い方ではないかと思います。
今の出版点数では、1冊1冊の本を長期にわたって売っていこう、というようなことは難しいでしょう。
沢辺氏は
さて、版元ドットコムです。
版元ドットコムは主に小規模の版元(出版社)が結果的にあつまった団体です。
たぶん、出版傾向は、売れるだろうモノよりも出したいモノに傾いているんだと思います。
と述べます。
私もその姿勢には賛同します。
しかし同時に
もし、ある本が本当に必要ないなら、買われなかった、という事実で退場させられればいいのだと思います。
この覚悟を、多くの出版社に共有してもらいたいと思います。
図書館のせいで売れない、新古書店のせいで売れない、と言うような他者に責任を転嫁するのではなく、その本が必要とされなかったのだ、と捉えてもらいたいです。